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すごいやつ7
いよいよ明日、文化祭が始まる。
今日の練習でも、俺はサビの前で声が出なくなった。
3人並んで校門を出る。
俺は先ほどから、終始下を向いていた。
「ほら奏一、また下見てる!もっと顔上げろ!」
隣で真琴が騒がしく声をかけてくる。
今日だけでも何度も同じことを言われた。
でも俺は、そんな上ばかりを見ていることはできない。
「……足元を見ていれば、転ばずにすむじゃねぇか。遠くばっか見てたって、それこそ足元すくわれる」
なのになんで、俯いたらいけないんだ?
少しの間、静寂が起こった。
そして、徐に真琴が暗くなった空を指差す。
つられて空を見上げると、一面の星空が広がっていた。
「俯いたら、折角の光が見えなくなっちゃうだろ?」
「……光?」
「うん。光は一瞬で消えちゃうから、ちゃんと見上げてないとすぐ見落としちゃう。それって、スゲーもったいねぇじゃん!」
夜空から真琴へと視線を移す。
真琴は笑っていた。
まるでこいつ自体が光のように、俺は見えた。
「できるよ。絶対にできる!」
そう言って、真琴が駆け出す。
隣で遥先輩が可笑しそうにケラケラと笑った。
その笑い声につられて、俺も少し、笑みが溢れた。
明日はついに、本番だ。
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