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変化3
両親が離婚して、親父と2人で暮らすようになったのは小学4年の頃。
それまでも、母親から愛情らしい愛情は向けられてこなかった。
別にそれに対して悲しいとかいう感情は湧いてこない。
そういう普通とは違う俺だったから、母親も邪険に扱ったのだろうか。
中学に入ってからは、所謂ヤンキーたちと絡むようになって、碌に家にも帰らずプラプラ遊び歩いていた。
周りのこととかに興味がなくて、何の意味もない毎日を繰り返す。
そんな中で、唯一自分の意思で続けていた音楽。
ギターやドラムを、近所の小さいライブ会場を営むおっさんが、時間が空いた時使わせてくれた。
いい筋してるなと、おっさんは笑ってた。
なんとなく高校生になり(容量は良いので勉強はできた)、でも頻繁に休んでは公園にあるベンチで寝たりする。
その日は学校に来ていたが、途中で面倒になり抜けて来た。
毎日が、淡々と過ぎていく。
見上げていた空があっという間に赤く染まる。
そして暗くなり、また明るくなる。
ただその繰り返し。
俺の世界は、全部がモノトーンに見える。
「あのー、生きてますかー?」
その時、誰かの声が聞こえた。
薄く目蓋を開ければ、知らない子供が俺の顔を覗き込んでいる。
色素の薄い、柔らかそうな髪。
アーモンド型の大きい目。
一瞬頭の中に、猫じゃらしで遊んでいる猫が浮かび上がった。
「お兄さん、北高の生徒なの?」
「なんで…って、制服か」
「学校は?サボり?」
「お前こそ、サボりだろ。こんな昼間に公園で」
その子供は私服だったが、歳下……おそらく中学生だろう。
明らかに同罪の相手にそう言い返し、俺は体を起こした。
そうすれば当たり前のように隣に座ってくる。
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