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答え2

あ、真琴…。 中庭に真琴の姿を見つけた。 近づこうとした俺は、真琴の側にもう1人いることに気が付き足を止める。 「遥先輩…」 2人は何やら話しているようで、相変わらず仲が良さそうだ。 いつも感じていたが、距離感が近いと思う。 心を許し合っているというか…、まぁ物理的にも近いのだけれど。 遥先輩がくしゃりと真琴の頭を撫でた。 真琴は何かを言いながらその顔を赤く染めている。 ジワリと、黒い感情が込み上げてきた。 こういうのを人は嫉妬と呼ぶのだろうか。 初めての感覚に、なんとも複雑な思いを抱く。 そんなことを考えているうちに、遥先輩はその場からいなくなっていた。 1人残った真琴の背中に、俺は声をかける。 「真琴」 「…っ!?」 ビクッと肩を震わせて振り返った真琴は、まだ顔を赤くしていた。 なんだかモヤモヤする。 意図せずとも眉間にシワが寄っていたからだろうか、俺の顔を見た真琴がオロオロし始める。 「え、あ、俺、な、何かしましたでしょうか…?」 「……今、遥先輩と何話してたんだ」 「へ?」 きょとんとする真琴を無言で見つめていると、更にその顔が赤くなる。 それだけでどんどんと胸のモヤモヤが大きくなる。 「べ、別になんでもないよ…っ」 「真琴、俺に嘘が通用すると思ってんのか?」 「ひぃっ、なんか奏一怖いって…!極道みたくなってんよ…!?」 「質問に答えろ」 詰め寄れば、真琴は散々黒目を彷徨かせた後、次にはその顔を俯けた。 僅かな静寂が訪れる。 「……ぃちの」 「は?」 「そ、奏一の話、してたんだよ…」

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