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答え3

顔を赤らめて、心底恥ずかしそうに呟く真琴。 なんだこいつ、すげぇ可愛い…。 「も、もういいだろ…!これ以上は言わない!」 「あ、お、おぅ、分かった…」 なんだかすっかり調子を狂わされてしまった。 というか、本題はこれではない。 切り替えるように咳払いをする。 今のを聞いてなんだか余計に緊張してきてしまう己を叱咤し、口を開いた。 「じゃ、じゃあ、本題だけど…」 「っ、…う、ん」 「俺は、真琴の本心が聞きたい。いきなりこんなこと言われてもって思うかもだけど、その…、なんていうか…」 「嫌じゃ、なかったんだ…」 「…え?」 言われた意味が分からなくて、一瞬思考が止まった。 俯いた真琴を凝視してしまう。 髪から覗いた耳が、赤く色付いていた。 「あの時、き、…キス、されて、嫌じゃなかった…」 「…っ!」 「だから、焦って…、俺、逃げちゃって…」 その時にはもう体が動いていた。 わたわたしている真琴を、力一杯抱き締める。 「うぐっ…、苦しぃ…っ」 「嫌じゃなかったってことは…、そういうことだって、思っていいのか…?」 「っ、……ぅ、うん…」 「……真琴」 「ん?」 「キス、してもい?」 「っ、こ、ここ学校…っ」 我慢できなかった。 その薄い唇の、自分のを重ねる。 驚いたのか、真琴はキュッと俺の服を掴んできた。 それだけで、心底愛しいと感じる。 嬉しかった。 心底嬉しかった。 昨日の夜ずっと眠れなかった。 授業中も全然集中できなくて、陽介にもやたら心配されて。 でも、それらが全部報われた気分だった。

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