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答え5
「嫌なのか?」
「う…」
言い淀み、部屋が静かになる。
カチカチと時計の針の音が聞こえた。
そのまま固まっているとまた奏一は携帯で調べ出す。
横暴だ!
こんなのズルだ!
「なぁ、ほんとにするのか…?」
「だから嫌なのか?」
「う…、それは、なんていうか…」
隣に腰を下ろすが、奏一は携帯から目を逸らさない。
なんか少しムッとして更に体を寄せると、何故か顎の下を撫でられた。
おぉいいねぇ、気持ちいぃ〜。
「って俺は猫かよ!そうじゃなくてさぁ!」
「でも、喉鳴ってるぞ」
グルルルル…。
「よし、なんとなくは分かった」
「え、マジで…?」
「でもなんか、色々準備がいるみたいだな」
「……」
「俺、ちょっと買ってくる」
「えぇ!?本気なのか!?すぐなのか!?」
「善は急げだろ。それに真琴の母さん、遅くまで帰ってこないって言ってたじゃねーか」
そんなお盛んな高校男子みたいな言い分……って、高校男子デシタ。
それでもなお俺が渋っていると、片膝をついた奏一に両頬をその手で包まれた。
真っ直ぐに見つめ合う。
奏一の夜空みたいな綺麗な黒い瞳に、一瞬今の状況を忘れていた。
「真琴。俺、ほんとにお前のこと好きなんだよ」
「…っ」
「少しでも触れたい。心にも、体にも。……マジで中坊みたいな考え方だけど。今すぐにでもって、独占欲みたいなもんが込み上げてくる」
「……」
「真琴。俺とは、嫌か…?やりたくないか…?」
「……」
小さく首を横に振っていた。
そんな目で見つめられたら、断れるわけがないじゃないか。
やっぱり奏一はずるい…。
奏一は優しく微笑んで、再び立ち上がる。
俺はその背中を、黙った眺めていることしかできなかった。
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