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傷跡4
その言葉を聞いた瞬間、真琴の目が大きく見開かれた。
驚愕と怯えが露わになる。
思いもしていなかった反応に動揺した。
その間に真琴が階段を駆け下りて行ってしまう。
止める暇もなく去って行く背中に、ひどく困惑する。
もしかして、今の言葉は地雷だったのだろうか…?
付き合って早々に、破局の危機…。
サァッと顔が青ざめていくのが分かる。
やってしまった。
何がどう駄目だったのかはよく分からないが、とにかくやらかした。
あの文化祭が終わってから、俺は何回真琴に逃げられているのだろう。
考えるとなんだか悲しくなってくる。
こうなったのは全て、俺が真琴に恋愛感情を抱いてから。
真琴にとって恋愛とは、それほど関わりたくないものなのだろうか。
脱力し、壁に寄りかかる。
なんだか真琴のことが、今まで以上に分からなくなってしまった。
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