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合唱コンクール2

「いやぁ、だってみんな期待してるし。すごい楽しかったじゃん!」 「俺はあれっきりって約束だったんだぞ!お前だってそれに了承しただろ!」 そう。俺は文化祭でのことを引き受ける時に、条件としてそう提示していたはずだ。 まさか忘れたとは言わせない。 そう抗議すれば、先程までの怯えは何処へやら、胡座をかいて寛ぐ真琴は動じる様子もなく答えた。 「約束なんてしてないよ?」 「はぁ!?」 「だって俺、奏一の条件飲んだ覚えないですもん」 「なに言ってんだ!確かにちゃんと約束して…」 そこまで言ってはたと気づく。 確かにあの時、俺はこの条件を持ちかけた。 それに対して真琴はというと…… 嬉しそうに、笑って…… 笑って……、ただそれだけ…? 「俺、別にうんとは言ってない」 そう笑顔で言う真琴に驚愕する。 コイツ、純粋そうに見えて意外に黒い…!? 動揺する俺に、真琴は「だてに厳しい生活送ってないんですわ。ケッケッケ」と怪しげな笑い方をした。 新しく見る真琴の一面に、俺は無意識に後ずさる。 その時、突然携帯の電話の着信音が聞こえた。 鳴り続けるそれに持ち主である真琴は出ようとしない。 「おい、いいのかよ…?」 不思議に思って尋ねれば、真琴は「うん。大丈夫」とにこりと笑みを浮かべた。 「ということで!合唱コンクールに向けて頑張ろう!」 「「おー」」 「っておい、何勝手に進めて…!つーか陽介は部外者だろ!」 「ひっどーい。俺も今回はサポートするから、仲間外れはやだよー」 クネクネと気持ち悪く体を捩る陽介に何かを言う前に、袖を引っ張られる。 振り返れば、こちらを見つめる真琴と目が合った。 動きを止める俺に、真琴は笑みを浮かべる。 「奏一。また一緒に、思いっきり歌おうよ」 「っ、真琴…」 ずるい。 こんな風に言われたら、もう断れないではないか。 俺は渋々頷いていた。 それに真琴が嬉しそうな笑みを浮かべる。 頬を赤く染める真琴が可愛くて無意識に触れようとした時、突然教室の扉が開かれた。

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