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しがらみ2

「うぉぉぉ、豪邸じゃん…!」 「大袈裟だから…」 家に辿り着くと真琴はその目をまん丸にして仰天した。 豆鉄砲を喰らった鳩みたいで面白いが、真琴の家庭事情を知れば複雑な気持ちになる。 家族のことを嫌悪しているのに、その保護下にある状況はいつも不快だった。 「ななっ、家庭婦さんとかいないのっ?」 「…日中はいるけど、17時には帰らせてる」 「へぇー!」 なんでそんな楽しそうなんだ…。 ため息を漏らしながら門を開け、扉を開けると、またまた真琴が「豪邸じゃん!」と声を上げた。 「すげぇ!なんかテンション上がるな!」 「上がるな、大人しくしてろ」 ガキみたいにはしゃぐ真琴に苦笑いが漏れる。 まぁでも、真琴がいてくれるおかげでいつもの息苦しさは半減だった。 もしかして、わざといつも以上に明るくしてくれているのか? そう思ったが、すぐ考えるのをやめる。 どんだけ考えたところで、真琴の真意は分からないだろう。 「真琴、お前着いて来たところで何するつもりなんだ?いつ帰るんだよ」 「冷たいなぁ奏一。ただ恋人の家に来てみたいって思っただけだもん。1時間ぐらいしたら帰るから!」 真琴の口から「恋人」なんて聞くと動揺する。 あの川での一件から、なんだか真琴は踏ん切りがついたように思えた。 恋愛することにちゃんと向き合い出したようで、純粋に嬉しく感じる。

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