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証明10

1番が終わった後の間奏からスタートする。 殆ど放心状態だった奏一も、少し遅れてベースを弾き始めた。 周りは少し騒ついたままだ。 まぁ無理もないだろう。 突然曲を中断して、突然また始めたんだから。 こんな無茶苦茶な演奏に、なんだか笑みがこぼれてきた。 ほんと、奏一といると退屈しない。 隣を見れば、奏一と目が合った。 その瞳が戸惑いに揺れる中、俺は微笑みを浮かべる。 大丈夫。 俺は知ってるから。奏一の凄さを。 俺の見込んだ男は、こんなことで挫けたりしない。 後悔なんてしていなかった。 奏一と出会って、バンドに誘って、何も悔やむことなんてない。 だって予感がしたのだ。 奏一と接していくうちに、何かが変わる予感がした。 必死で抗った先にある景色を、俺は知っている。 あの文化祭での光景は、今日まで頭の中にこびりついていた。 止まない歓声も。 歌い終わった後の高揚感も。 奏一の歌と交わった時の、全身から湧き上がってくる感情も。 忘れることなんて、絶対にできない。 だからもう一度見に行こう。 この3人で。【Reach out!】で。 だから奏一…、踏み出せ!!

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