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証明13
真琴と奏一が2人での大サビを歌い切る。
そして最後の音を奏で終えた瞬間、会場が震えるほどの歓声に包まれた。
汗まみれになりながら呆然と立ち尽くしていた奏一は、不意に繋がれた手にハッと我に返る。
隣を見れば、その頬を紅潮させた真琴が満面の笑みを浮かべていた。
そこでやっと、実感が湧いてくる。
歌い終えた後の景色を、その目に焼き付ける。
「やっぱ奏一はすげぇな」
「え?」
「信じてた。お前なら這い上がってこれるって」
目の前に拳を突き出される。
俺は真琴の言葉に息を呑み、次には笑みを浮かべていた。
「ナイスファイト」
「お前もな」
そしてその拳に、自分の拳を押し当てた。
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