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ゆるふわ夏祭り!(3)
ああもう、昨日から寝てないから、瞼が重いよぉ。
でも後ろにいる高月さんが金尺 持って、ぱしっ、ぱしっって手のひら打ってるから、居眠りなんてできない。
僕がこくり、なんて舟でもこいだら、あの金尺が唸るんだろうなきっと……。
ひいぃぃ。
「とまりくん?」
「はいっ!」
「今、何時かな?」
高月さんも寝てないから、せっかくの綺麗なお顔にクマができてて、ちょっと目が血走ってる。
怖ひ!怖ひよぉ!
「ただいま、午前十時であります!」
「もし万が一、お昼の十二時までにね、原稿がないと……どうなるか分かるよね?」
「どうなるんでありましょうか!」
「来月号にはとまりくんの連載のらないねぇ?真っ白だ」
そそそそそ、それはやだ!
せっかくもらった初めての連載なのに!
最後までちゃんと書きたい!
「死ぬ気で書くであります、ッサー!」
必殺、ブラインドタッチ!!
頑張れ僕のおつむ!
◇ ◇ ◇
……金目鯛なのであった……まる、と。
よ、よし!
午前十一時半!
「できました!高月さん!」
僕が叫ぶと同時に高月さんが飛んできて、その場で原稿チェック。
「うん、大丈夫だね。それ、今すぐ僕のところにメールで送って!」
「はいっ!」
応えた時にはもう、高月さんは部屋から駆け出していくところだった。
メール送信完了であります!
もう姿が見えない高月さんに敬礼して、僕は一気に脱力した。
ふわあぁぁぁぁ……。
ばふっとベッドに倒れこむ。
浴衣の裾が開いちゃってるけど、そんなの気にしない。
あぁぁ~、疲れたぁ。
ちょっと休憩して、お風呂入ったら帰ろっと。
ごろんごろんとベッドで寝転がって、十分くらい寝たらちょっとすっきりした。
お風呂入ろ、お風呂。冷や汗かいちゃったし。
手拭持って~れっつごー!
おおっ、お風呂また貸し切りだ。ついてるー!
僕、お風呂大好きなんだよねぇ。
あわあわタオルで体洗って髪洗って、つやつやぴかぴかになったら湯船にとぷん!
気持ちいい~。
ちょうどよく温かいお湯でほわほわ気分。
眠かったのも飛んでくよぉ。
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