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ゆるふわ夏祭り!(8)
「おー!おっきーい」
小高いところにある神社の境内から眺める花火。
まさに夜空のキャンバスに花を描いたみたいに華やかに大小咲き誇ってる。
「わー!今度は綺麗!」
周囲にも、同じように花火を見に来たカップルが何組かいる。
みんな仲良く二人で寄り添って花火見てる。
どうやらここは花火見物の穴場として定着してるみたいで、参道に何軒か屋台が出てた。
というわけで、買ってきましたチョコバナナ二本目。
バナナがね、美味しくてねぇ。はむはむ。うふふ。
「んっ……ぁあん」
なっ、何?
背後の茂みから、女の子の悩ましい声が聞こえてきた。
ゆーたと思わず顔を見合わせる。
ゆーたは目が合うと、さっと顔を赤くした。
「ほ、他のとこ行こうか、とまり……な?」
あ、そういうことか。他のカップルさんが仲良くしてるのか。
それじゃ、お邪魔しちゃいけないね。
「あっちの茂みの向こう側に行こ」
離れたところに手を繋いで二人で移動した。
……うーん。さっきの場所より花火が見えづらいなぁ。
手前の木立が花火に重なっちゃって、あんまりよく見えない。
チョコバナナ食べてよっと。
?
「どしたのゆーた」
赤い顔したゆーたが僕の手を両手でちょっと引っ張る。
「ん、いや、その、なんでもない」
「そーなの?顔赤いよゆーた。大丈夫?」
言いながらバナナを頬張る。
あ、チョコ唇についちゃった。ぺろり。
ゆーたの視線が僕の舌を追う。
更に赤くなる。
「ゆーた?」
「うん」
消え入りそうな声で答えるゆーた。
僕はわざと舌を出してチョコバナナを下からぺろりと舐めあげてみた。
んー。チョコおいし。
案の定、僕の口元から目を離せないゆーたは、更に顔を赤くしてうつむいちゃった。
「と、とまり……煽るなよ……」
んー。ふふ。
ゆーたってば、素直なんだから。
「ねえゆーた、する?」
僕は首を傾けて、うつむいたゆーたを下から見つめる。
ゆーたはもうどこを見たらいいか分かんないみたいで、潤んだ目をきょろきょろさせてる。
か、可愛い……!
思わず抱きしめてキスしちゃう。
「ゆーた可愛いよ。大好き」
「俺に、か、可愛いとか……言うなよ。とまりみたいなのを可愛いって言うんだよ」
残ったバナナを頬張って、むしゃむしゃごくん。
食べ終わった割り箸は、捨てるとこないからとりあえず浴衣のたもとに放り込む。
「んじゃ、ゆーたかっこいいよ。好き好ききゅーってしちゃう」
ゆーたとほっぺたを合わせて、思い切り抱きしめた。
あ、ゆーたの心臓がどきどきしてる。
ほっぺたも熱い。
僕がチョコバナナ食べてるの見て、興奮しちゃった?
ふふふ。嬉しいな。
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