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心ここにあらず★
「あっ、あっ、あっ、んっ……ヒロ……」
後ろから有に繋がって、欲のままに腰を振る。奥に突き上げる度に、有が背中を反らして喘いだ。じんわりと自分の体に汗が滲み出る。有の体からも汗が出て、暖色系の光を放つスタンド照明の光で輝いて見えた。
今夜は旅館のような和室に敷かれた布団の上で交わっていた。有の浴衣がいやらしくはだけて、露わになった胸元と尻を撫で回す。そう言えば、和装の有は色気があったな、と思った途端に、この状況が現れた。浴衣を着た有が布団の上に座って、じっと大貴を見ていた。大貴は躊躇うことなくそこへと向かい、そのまま有を押し倒した。
あ、イく。そう思った瞬間に有の中に欲を吐き出した。これまたラッキーなことにゴムをしていなくてもこちらの世界では有の体調も、性病も気にする必要もない。すっと有から離れると、白濁の液が有の孔から溢れ出た。はあはあと荒い息の有を掴んで、今度は仰向けに押し倒す。有が信じられないという顔をして大貴を見上げた。
「ちょお待てっ。まだヤるん??」
「おん。まだ足りひん」
「いやいや、やって、もう何回ヤったん?? お前は盛りの付いた高校生かっ!! ようそんな次から次へとイけるな」
「有とはできる」
「いや、そうは言うけど、今日、激しない?? さすがに俺も体力限界やって」
「俺の創ったもんなのに、体力の限界なんあるん?」
「あるあるっ。ついでに言うたら精神の限界もあるっ」
「はあ? 何言うてんねん」
「とにかく、ちょお休ませてやっ」
「なんやねんな、もう。俺の言うことは拒まれへんのやろ?」
「そうやけど、お前、さすがにもうちょっと俺を労ってくれてもええんちゃう? これだけ奉仕しとんのやから」
「もう分かったってぇ。ほんなら、風呂入ろうや」
大貴がそう言った途端、和室の壁に浴室に繋がるドアが現れた。
「行こ」
有の腕を引っ張って浴室へと向かう。浴槽にはすでに温かなお湯が張られており、乳白色の入浴剤まで入れられていた。体を洗った後、ゆっくりとその浴槽に浸かった。大貴の両脚の間で有を後ろから抱き締める。キスしたい、と思う度に、有が振り向いて大貴の唇に濡れた唇を重ねてきた。浴槽の中でしばらくの間じっとしていた。ふと、有が口を開いた。
「なんかあったん? あっちの俺と」
「……聞かんでも分かるんやろ、お前は俺の一部なんやから」
「そうやけど。話したいんちゃうかな思うて」
今日のお前、ちょお、おかしかったで。そう言って有がちらりと大貴を振り返って見た。
「おかしい?」
「おん。えらいネチっこかったし。心ここにあらずやったし。俺を抱きながら、あっちの有のこと考えとったやろ?」
「……そんなことあらへん」
「いや、隠しても無駄やし。あっちの有をこれでもかって犯しとる感じ?」
「……そんなんちゃう」
「やから、そうやねんて。俺には誤魔化しきかへんって言うてるやんか、何度も。アホか」
「アホは余計じゃ」
ほんまに、口悪いなこいつは。そう思いながら眉を潜めて有を見た。有は全く気にもしていない様子でふいっと前を向いた。
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