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有の本音★
大貴を睨み付けたまま、有が口を開いた。
「俺やって、お前のことが欲しいってずっと思っとったで」
「それ……ほんま?」
「こんなん、嘘ついてどうすんねん。ヒロがそんなん思うてくれてたなんて全くもって分かってへんかったし、俺も意地になって隠しとったんやって」
やってお前、俺にめっちゃ冷たかったやん。そう言って、有がぷくっと頬を膨らました。
「それやのに。こんなところで急に言われて。しかも俺に一言もなく、そいつと、毎日、毎日ヤりまくるって、ありえへんやろ」
「有……」
「なんやねん」
「もしかして……妬いてるん?」
「…………」
分かりやすく有の顔が赤くなった。その顔を見て大貴は苦笑いする。
ほんまに。こいつは予測不可能やわ。
「なあ、有」
「……なんやねん」
「俺は、有とヤりまくりたい、思うてるで」
「アホか……」
「アホでもええねん。もし有が……本物の有が俺のもんになってくれたら、もう、嫌って言うくらい抱きまくるで」
「…………」
現実世界の有が赤い顔したまま俯いて黙った。様子を見ていたもう1人の有が、うわっ、それはきついでっ、と呟いた。その有を軽く睨む。
お前はどっちの味方やねん。
黙っていた有がゆっくりと顔を上げた。大貴をじっと見つめる。
「ヒロ」
「ん?」
有が静かに大貴へ向かって歩いてきた。目の前で大貴の瞳を覗くように見上げると、顔を近づけてくる。ゆっくりと有の唇が大貴の唇に重なった。そこで初めて気が付く。その感触も。香りも。熱も。何もかも。自分の創った有とは何1つ同じ物はなかった。
触れるだけのキスなのに。なんて気持ちがいいのだろう。これが、本当に自分が望む、自分が求めてきた相手とのキスだからだろうか。
そりゃそうや。
キスを続けながら、大貴は心の中で笑う。自分の創った有は、自分の想像の上に成り立っているに過ぎない。どんなに似せようと、現実の有と交わったことのない自分が、全く同じ有を創れるわけがないのだ。
有がそっと唇を離した。そのままじっと大貴を見つめる。
「ヒロ……。帰るで」
「……おん」
しばらく至近距離で見つめ合って、どちらからともなく微笑み合った。
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