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第26話

蒼のアパートに到着し、車は建物の前に止めて荷物を下ろした。アパートと言っても中心部であるダウンタウンの高級アパートだった。 外観は一見古く感じられたが、アパートの中へ入るとシンプルな家具と内装で住み心地が良さそな素敵な感じが漂う。各部屋を案内してもらい、荷物を大きなベッドのある寝室に移動した。 「皐月、お腹空いてる?サンドイッチ作るから、先にシャワーでも浴びて来なよ。」 荷物を整頓していると、蒼はそう言ってキッチンへ消えていった。 せっかく逢えたのに素っ気ない蒼に疑問を抱きながら、素直にシャワーを浴びた。 ずっと寝ていたせいか、熱い湯が気持ちよかった。 浴室からでると、いつの間にかバスタオルが用意されており、身体と髪を乾かしてキッチンへ足を運んだ。 「シャワーありがとう。」 ほかほかと疲れた身体が熱いシャワーで癒され、久しぶりの蒼を見つめながら声をかけると、蒼は優しく微笑んだ。 「僕もシャワーを浴びるから、良かったらソファに座って先食べてて。全部食べていいよ。」 そう言って、返事をする暇もなく蒼は入れ違いで浴室へ消えた。キッチンには美味しそうなサンドイッチが置いてあった。 キッチンからサンドイッチを持ってきて、リビングのソファで食べた。 機内食も美味しかったが、肉厚のベーコンと卵が挟んである特製サンドイッチは格別だった。 ささっと簡単に作ってくれる蒼の優しさにも感謝した。 満腹になると時差ボケもあったのか、段々と眠くなってきた。テレビをつけると早口で英語が流れてくる。 ぼうっとしながら眠気を感じると、まだシャワーを浴びている蒼がいる浴室へ行き、流れ落ちる水流を聞きながら脱衣所の洗面所で歯を磨いた。 そして寝室に行くと、そままベッドに沈んで眠ってしまった。 本当は一緒にシャワーを浴びて、キスをしながら躰が火照るまで抱き合いたかった。だが時差ぼけとフライトで疲れた身体はもう限界だったようだ。 明日ゆっくり愛し合おう。 逢えない分、沢山話して甘えよう。 そう思いながら、甘く蕩けるような蒼の匂いに包まれながら眠りについた。

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