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早咲きの一花(7)

 はっとした顔の学が、あわてたように頭を振って、ほっとした。 「じゃあ本気になって。俺の事好きになってよ」  学を抱きしめて囁いた。  それは俺の本心だった。  そうしてくれたらどんなに嬉しいだろう。  汚く壊れてしまった俺の世界の真ん中に、この綺麗な人が居てくれたなら。  戸惑いながらもこくっと頷く学にキスをした。  角度を変えて何度も。  従順なのに開かない唇に苛立って、指で口を開く。  舌をねじこんで中の甘い蜜を舐めとった。  長いキスが終わると、真っ赤になった学がおどおどと言う。 「オレ、これがファーストキスだ」  本当に何から何まで、この人は綺麗だ。 「俺、ラッキーだな」  にっこりと微笑むと、ぼうっとした目が俺を見る。  どうしようか。  隠すべきか、言うべきか。  謎めいた男でいた方が、学を惹きつけておけるだろうか。  いや、自己評価の低いこの人はこのままでは悩んで逃げ出すかもしれない。  しっかりと繋いでしまうほうがお互いの為にいいだろう。  いずれ俺は学をありとあらゆる方法で守り始めるのだろうし、それを嫌うかどうかを確かめた方がいい。 「俺ね。帯刀(たてわき)(じん)っていうんだ」 「オレは……」 「知ってるって言ったら引く?」 「え?」 「俺ね、あなたを見ていたから……あそこから」  窓の外、自分の部屋を指差した。 「最近、あんまり帰ってこないと思ってたでしょ?あなたを見ていた。あなたは俺がいないと、俺が帰って来たかすぐ気付くようにカーテンを開けていた。だから、部屋の照明をつけずに部屋に入ってあなたを見ていた」  愕然とした顔をしている。  引かれたかなと思って、首をかしげて顔をまじまじと見た。 「オレが見てたって知ってた? もしかして、今日だけじゃなくて……聞い……」  それ以上言えなくなったらしく、腕から逃れようとする。  そっちか。笑い出しそうになるのを堪える。 「うん。何回か可愛い声が聞こえた」  上気していた顔がますます赤くなった。  赤いというか赤黒いレベルだ。倒れたりするんじゃないよなと心配になる。 「ご、ごめん。ごめんなさい」 「ん?どうして謝るの?俺のこと魅力的だって思ったんでしょ?」 「気持ち悪いだろう。オレみたいなおっさんが……」 「そう思ったなら俺はここにはいないよ?」  戸惑った顔。震える唇。納得させるにはどうすればいいのか。  ああ、と思いつく。  手を取って、学のかわいい反応にまた硬くなった前に触らせた。 「ほら。気持ち悪かったらこんな風にはならない」  ためらうように服の上から形を確かめる手に耳元で息を吐いた。びくりと身体が震えて、目が熱を帯びていく。でも指先は動かない。  憧れを浮かべる目に微笑みかけた。 「いいよ。触っても」  はっとしたように一瞬手が離れて、平凡な顔の平凡な、だが例えようもなく魅力的な目がまじまじと俺を見る。 「いいよ?」  こくりと喉が鳴って、震える指がゆっくりと俺に触れる。  撫でられると硬くなったものが容積を増して、フィットしたジーンズの中がいっぱいになった。 「ボタンはずして」  耳元で囁くと、従順な指がボタンを外してジッパーを下げる。  指がためらいながらも中に滑り込んできて、トランクスごしに俺のものに触れて上下した。 「いつも……そんな風に自分でするの?」  首筋にキスをすると、学の口から小さな声が漏れる。  こくりと頷いて、指がトランクスの淵にかかる。  指がするりと直接俺の欲望に触れた。先走りでくちゃりと音がする。 「んっ……」  声を出すと、学がはっとした様に俺を見た。 「気持ちいいよ?」  欲望に掠れた声を出すと、学がうっとりとしながら指を動かす。

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