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早咲きの一花(8)
肩に頭を乗せて学の目を見ながら、おおげさに荒い息を吐いた。
「キスしよ?」う
誘うと、躊躇わずに唇が重なる。
舌で唇をつつくと、今度はすぐに唇が開いて甘い唾液を舐めあった。ん、ん、っと学が声を出しながら俺をしごきあげる。時々、ぶるぶると学の身体が震えた。俺に触っているだけで感じるのか。初心な反応に満足する。
「ね、どうする? このまま俺がイクとこ見たい? それとも……」
学の腰を引き寄せて指で背中をたどって、そのまま尻の割れ目に指を這わせた。
「こっちで……もう一度、する?」
欲望をにじませた息を吐きながら、学の頬に鮮やかに色が上がるのをうっとりと眺める。
「い……のか?」
「いいよ」
短い息を吐いて、学がごくりとつばを飲む。
「言える? 俺が欲しいって」
それは意地悪な問いかけだろう。
内気な学には辛いはずだ。
だが、自ら望んで俺の手に落ちて欲しい。
俺のものになりたいと、その口で言わせたかった。
────沈黙。
俺の胸に当てた手が震えている。
無理だろうかと諦めようとした。その瞬間。
「抱いてください」
意を決した躊躇いのない声が真っ直ぐに俺を突き刺した。
学の腕が首に回ってくる。
「だ、抱い……」
自分の言葉に恥ずかしくなったのか、それとも自信がなくなったのか言葉が途切れた。
「喜んで」
奪うようにキスをする。
自分が嗜虐的な人間だと思ったことはないが、学が初めての経験に怯えながらも従う姿は俺の感情をかき乱した。
ベッドに学を押し倒して、パジャマのボタンをひねりながら、綺麗な筋肉の浮いた体を指でなぞる。
「綺麗な体だ」
ズボンに手をかけると、腰が浮いて来て思わず微笑んだ。
ベッドを離れて、持ってきたバックを拾ってベッドの傍に落とすと、見られているのを意識しながらゆっくりと服を脱いでみせた。
飢えた瞳がじっと俺を見ている。
「どうかな? あなたのものだよ」
手を広げて学の前に立つ。
「信じられない」
思わず飛び出した呟き。ぞくりと背中に震えが走るのを感じた。
学がはっとして、手で口を塞いで顔を赤くする。
本当にどこまで可愛いんだろう。
ためらいがちな声が掠れた声で尋ねる。
「き、君のような人が、どうしてオレなんか」
「迅だよ。ジン」
ベッドの上の学に馬乗りになって、顔の横に両手をつく。
「俺、微笑 っているでしょ?」
確かに俺は微笑んでいた。
優しく、誘うように。
こくりと頷く学に微笑みが大きくなる。
「俺ね。ずっとうまく微笑 えなかったんだ。人の汚い所ばかり見る仕事をしていて。壊れてしまった」
学の頬をゆっくりと撫でる。
「学の視線を感じるようになって、逆に学を見るようになって。あなたはとても一生懸命で。そんなあなたを見てたら、俺はまた微笑 えるようになった」
軽いキスをして言葉を続ける。
「俺はそんな風だから、本当は学には相応しくないんだ。
でも、学が誘惑する声には逆らえなかった。────俺を……呼んだよね?
俺が欲しいって、犯して欲しいって」
涙目が頷く。腕が伸びてきて、俺を抱き寄せた。
「迷惑じゃないのか……君を……迅を好きになっても」
迅と呼んでくれた。喜びが背筋を震わせる。
「そうしてくれたら嬉しい。俺も学が好きだから」
抱き寄せられた耳元で囁くと学がかすかな喘ぎ声を上げた。
合わさった体の下の学が熱く反応する。
「き、キスして欲しい」
「いいよ」
学の唇が微かに開いている。
口を開けて舌を見せると受け入れようと唇が震えて開いた。
「ん……あっ……」
学の欲望が、声を漏らす度に大きく膨れて行く。
腰を軽く揺らすと、学の欲望から垂れたものと擦れて濡れた音が部屋に響いた。
「キスだけでいっちゃだめだよ」
尻の割れ目に俺の欲望をこすりつけて、意地悪に囁く。
「こっちでイキたいんでしょ?」
はぁはぁと息を吐きながら、学がとろりとした目で俺を見てぼんやりと頷く。
「いっぱい出来るように濡らそうね」
バックからゼリーを取り出すと先をねじりこんで中に押し出す。
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