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早咲きの一花(9)完
「う……んっあっ……じっん……」
喘いだ唇を唇で塞いで、くちくちと中に指を滑り込ませる。
さっき一度開いた中は柔らかくて、増やした指を簡単に呑み込んでいく。
「痛い?」
「いた……くな……ん……ひあっ」
指を中で回すと、学が大きく啼いた。
微かに割れた腹筋がはっきりと波打つ。
「うしろからしよっか」
指をずるりと抜くと、のろのろと学がうつぶせになって犬のように尻を突き出す。
「もっと高くあげて」
軽く頭を抑えて促すと、ぺたりと胸をベッドつけて尻を上げた。
「声、聞かせてね」
指をまた滑り込ませると、中を丁寧に探っていく。絶え間ない喘ぎ声。引き締まった尻がゆらゆらと揺れる。こりこりとした部分に触れると、嬌声が一際大きくなる。そこを執拗に撫でるとがくがくと身体が揺れて、泣き声が漏れた。
「ここ、なんだか知ってるでしょ?」
ぐりぐりと押しながら背中の感じやすい部分に歯を立てて甘噛みする。
「ん、あ、ああっ……わか……な」
「嘘つきだな」
前を握って上下にこすりながら、中をぐりぐりと押す。
学が口を押さえて声を殺した。
「どしたの?気持ちよくない?」
学が涙をこぼしながら俺を見る。
「も……いっちゃ……う」
手の中で学がびくんと震えてぬるりと先走りの液を吐き出す。
はあと息を吐くと学がまた口を押さえて涙を零した。
「いいよ?」
「やあ……やらぁ」
くにゃりと腰の力が抜けて、呂律の回らなくなった口が泣き声をあげる。
「し……て?……じ……ん。ほし……」
誘う目、きつく押さえた口、欲望に従順な体にぞくっと背筋が震えた。
「声、出さないとイケないんだよね?」
こくこくと学が頷く。
「絶対、声出さないでね」
砕けてしまった腰を持ち上げて、慣らした後ろに突き立てる。
「どんどん入ってく」
揺らす度に受け入れる体が震えて締め付ける。
はくはくと口を震わせて声を殺す学の口に、パジャマを咥えさせた。
「まだだよ」
さっき吐き出した欲望の残りと、足したジェルで、中は溶けるようだ。腰を突きあげると、中が誘うようにひくひくと蠢いた。
「やらしいね。締めつけてるよ」
声にびくりと体が反応する。
体に負担がかかるかとゆるく動いていたけれど、促すように腰が揺れる。
「もっと激しいのがいいの?」
背中に軽く爪を立てると、震えながら学が頷く。
「こう?」
思い切り突き入れると、ひゃっと声があがって噛んだパジャマがぽろりと落ちる。
「ほら。まだだよ」
腰の動きを止めると、学がぐすぐすと啜りあげながらパジャマをまた咥えた。
「かわいいね」
声を殺した学をがんがんと後ろからつく。
学が耐えられずに声を出すと、動きを止めて意地悪になじった。
そうすると、涙目の学が俺を見て、また従順に布を咥えて声を殺す。
学の全身に汗が浮いて、受け入れるだけの体にはもう力が入らないようだ。押し殺した息、うねうねと中がうねって、吐き出すように誘っている。
「も、いきそ」
学の口からパジャマを引き剥がす。
唾液でどろどろになった舌を強く吸うと、喉元に噛みついて強く吸いあげた。
「ひゃ、ああ」
どうしようもないという風に学の口が開いて舌が踊る。
「声いいよ。もっと聞かせて?」
ぐいっと最奥をついた。
「あっ……あっ、ああ……ああああ……イイ。じん……きもちい……」
もうきっと、あまり持たない。
情け容赦なく腰を振ると触れ合うものがぱんぱんと音を立てる。
学の切羽つまった切なげな喘ぎが聞こえた。
「だしてい?」
「だ……て」
こくこくと頷く様にぎゅっと何かが持ち上がる。
締まった欲望からどくどくと白濁が勢いよく学の中に押し出された。
「あ、あああああ」
あられもない声を出す学の欲望を握ると、こすりもしないのに白濁が手に溢れる。
これでもかとしめつける中に、自分の欲望をねっとりとなすりつけた。
はあはあと荒い息を押し出す。力の入っていない学の体がベッドに崩れ落ちた。
ずるりと抜けた穴がひくひくと動いている。やがて、そこから俺がどろりと筋を作って流れ落ちた。
どれだけ出してるんだ。
はあとため息をついて、汚れていない方の手で学をひっくり返すと、ねっとりとしたキスを交わす。
まだ欲望に曇った目を学の目を見ると、自然に微笑んでいた。本物の笑いが俺の口の端を持ち上げる。
「わらってる」
どこかぼんやりとした調子で学が言った。
「そうだね。学が好きだなと思うとこうなるみたいだ」
「…………オレも、好きだ」
やっぱりぼんやりと学が言う。
「ほんとうに学はかわいいな」
「迅は……すごく、かっこいい」
言われなれているというのに、じわりと顔に血が登るのを感じる。
ふわっと学が微笑んで、もう平凡とは思えない顔を彩っていく。
「俺は本当にラッキーだ」
照れ隠しに、もう一度学にキスを落としながら、早咲きでもう枯れてしまったと思っていた俺に、少し年上でかわいい恋人ができたようだと気がついた。
【おわり】
次章はこの物語の最初になった掌編になります。こちらは、特に読む必要のないものなのですが、バックアップのためにおまけ的に置いておくことをお許しいただけると幸いです。
その次からは基本いちゃいちゃしているだけの番外が続きます。
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