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【番外編】大人になるには 学、大人の宿へ行く(4)
「き、気をつける、から」
「いいこ」
重なってくる唇を受けながら、現金な身体が反応するのを感じる。アンダーシャツをはがされて、首や胸に迅の舌が這うのを感じた。
「んあ……あ、ああっ」
迅の肌に触れたくて、コートを引っ張る。焦った手じゃなかなか脱がせられなくて、そんな俺に迅がくすくすと笑う。
「そういえば、脱ぐ約束だったっけ?」
オレの腕の中から逃れて、迅が立ちあがる。
黒づくめの迅は悪魔みたいに微笑んだ。
くるりと迅がその場で回転する。ふわりとコートの裾がひろがって、後ろ向きになった迅が、ふるふると腕を振りながらコートを下に落とす。
正面を向いた迅がセクシーに腰を捻りながら、自分の黒いシャツの中に手を入れて、見せつけるように自分の肌をなぞりながらシャツをめくっていく。
シャツからくせのある黒い髪が抜けて、乱れた髪をぶるっとふるって妖艶に微笑んだ。伸ばした腕の先から、ぱさりとシャツが下に落ちる。
ごくり、と喉が鳴る。
この身体がオレのものだなんて。
「一枚ずつ、かな?」
固まったままのオレを無視して、迅が後ろをむいて綺麗な背中を晒す。ほどよく筋肉のついたスリムな身体。
かちゃかちゃとベルトが鳴る。しゅるって引き抜かれる音と下に落ちる重い音。黒いトランクスが焦らすように現れて、黒のデニムが足から滑り落ちる。
迅が妖艶に微笑みながら近づいて来た。
ベッドの上のオレは絶対ふにゃけた顔をしてる。だけど、目を逸らすことなんか出来っこない。
ふわっと迅の匂いがする。
迅が両手の親指をトランクスに差し込んだ。
ごくんとつばを飲み込むと、迅の口角が意地悪につりあがる。
「何度も見てるくせに」
「だって」
「えっちなんだ?」
「う……」
顔がめちゃくちゃ熱くなるのを感じた。
だって、だって、オレ、おっさんだし!
えっちだよ。すけべに決まってるじゃん!
「いいね」
くすくすと迅が笑う。
え?オレ、口に出した?出しちゃった?
迅が腰をくねらせながら、トランクスを降ろしたり上げたりする。なんなの、このテク。ま、まさか。
「ストリッパーとか、したことあるのか?」
「ないよ。探偵してた時、張り込みで見たことあるだけ」
わざとひっかけるように迅がトランクスを脱ぐ。大きいものがびょんと飛び出して、びしっと音を立てて腹に当たる。
つつっと先から透明な汁が垂れてくる。
その勢いと熱さと匂いに、ふらっと這いよると、迅に顔をこすりつけた。舌を差し出すと、ぐいっと迅が頭をつかんだ。
「俺、風呂に入ってないよ?」
「い、いい、いいから」
もだもだと言う声は酔ったみたいにろれつが回ってない。迅に酔ってしまってるんだ。
笑い声。ぱっと手が離れると、はあはあ荒い息を吐きながら根元から先走りに舌を這わせた。
先っぽをアイスキャンディーみたいにぺろぺろと舐める。溢れてくる先走りに頭がくらくらする。くぷくぷと先を口に含むと、迅の押し殺した声が聞こえて、オレの股間が跳ねた。
「おいしい?」
「うん、」
濃い迅の味。かすかに揺れる腰。吸い上げながら、舌を動かすと、硬さが増す。
「こっち見て」
目をあげると、欲望でぎらぎらした瞳をした迅と目が合う。
「すごい顔、」
腰を振られて、ゆっくりと奥まで咥えさせられる。
「そこ、なめて」
咥えたままで、れろと裏筋を舐め上げるように舌を動かすと、迅が声をあげる。それが嬉しくて、頭がくらくらする。自分で頭を動かして何度も何度も吸いあげた。
「ん、ん、んんっ。は、」
喘ぎながら迅のものを舐めまわす。
「気持ち良さそうに咥えこんじゃって…………」
両手で頬をつかまれて、奥まで迅が入ってくる。えづきそうになった喉の奥がきゅうと締まって、びくりと迅が口の中で震えた。
ゆっくりと……だけど思うままに、何度も迅は口の中を出入りする。
「くるしい?」
苦しい。だけど、オレはすごく興奮していた。真っ直ぐにオレの目を見ながら、口の中でぎちぎちに勃起してる迅。それは間違いなくオレで興奮してるってことじゃないか。
返事をする代わりに、舌を動かすと、迅が息を詰める。
「ほんと、いいこ」
くしゃっと迅が髪を撫でる。
「このまま出して欲しい?」
その声に、後ろがきゅっと締まるのを感じた。もぞりと動く尻に迅が意地悪に微笑む。
「挿れてほしいんだね」
それは疑問のない断定で、そんな浅ましい自分が恥ずかしい。
だけど、口の中をさんざんに嬲られて、迅の匂いでいっぱいの自分じゃ、理性のかけらさえ残ってなくて、取り繕うことなんて無理だから。
ぱあと開いた口から、唾液まみれの迅が糸を引いて出て行く。
ああ。
思わず追いかける頭を迅がつかんで視線を上に向ける。
激しい欲望をたたえた目がオレを見下ろした。
こういう時は、おねだりしないといけないんだ。
わかっているんだけど、頭がぐずぐずで何を言えばいいんだかわからない。
ぺたりと座り込んだ尻がまたもぞりと揺れた。
「なあに?」
優しい声が促す。
「それ、いれて」
「ちゃんと、わかるように、言って」
子供に言い聞かせるような甘い声。
「迅のちんちん、を、オレの尻の穴にいれて」
「いいよ」
ベッドの上に迅が乗ってくる。
「前から?後ろから?どっちがいいの?」
ローションを塗る手がくちゃくちゃと音を立てて、喉が鳴る。
「まなぶ?」
んあ?って迅の顔を見上げて、唇から覗く舌にうっとりした。
「もう……あんまり聞こえないかな?」
足を引っ張られて、ころりと転がった、
自分から大きく足を広げて、両手で尻の間を広げる。穴が物欲しげにひくつくのを感じた。
「は、やく」
「慣らさないと、きついでしょ?」
ローションで濡れた指が入り込む。
「んんっ、あ、あっ、あんぁ、あ。も、はいる、はいるからあ」
「ほんと?」
指がいきなり三本になって、簡単に飲み込んだ。
「ほんと、ぐずぐずになってる」
「はや、いれて!いれっ」
「ほんと、やらしいんだ」
指が抜けて、迅が入ってくる。
「あ、あああ、ああっ」
慣らすように入り口を擦られて、快楽で背中がのけぞる。重いひと突きで中がいっぱいになった。
腰を持ち上げられて何度も何度も突き上げられる。
軽く下腹を押さえられて、ぬこぬこと突かれると、中がいい部分に強く擦れて目の前に星が飛ぶ。
「うあっ、それ、それ、だめえ」
「気持ちいいでしょ?」
やばいくらい気持ちいい。引き抜かれ、押しこまれるたびにぐちゅぐちゅと濡れた音がする。ひときわ強く押しこまれた時になるぱんと肌が立てる音と、肌の衝撃。
「ひゃ、あ、あん、ああ、あん、あん、ああ、や、やあ」
「嫌でもいっぱいするよね?」
ずるっと迅が抜けそうになって、夢中で足を絡めた。
「やだあ、ぬくな、する、するう。あ、ああっ」
一気に迅が入ってきて、きゅうと穴が締まった。
「はは、すごい締めつけ」
そう言われて、穴全体がびくびくと震えながら迅を締めつける。
「ほんと、学はえっちな身体してるよね」
下腹部の手の圧力が強くなって、がんがんと腰を振られる度に目の前がちかちかする。
「ひゃ、あ、あ、ああああああ!」
「えっちな学はいっちゃいそうなんじゃないの?精子出されたくてびくびくしてんでしょ?」
気持ちよくて意識が飛びそうになる。突かれる度に叫び声が喉からもれた。
「せーし」
「好きでしょ?俺の精子」
「ん~、あっ、ああ、すき、じん、じん、すきぃ」
目が眩むって、こういうことなんだ。
目の前が真っ白になって、意識が霞む。ぶるぶると震えながら背中を弓なりに逸らして、声をあげて叫んだ。
手足がなんだか自由に動かない。どうして迅は謝ってるんだろう。
「ごめん、ごめん、まなぶ」
目を開けて、心配そうな迅の目を覗きこんだ。
そして、自分が泣いているんだって気がついた。
「じ、じ……ん、ふ、あ……ああ」
ぼろぼろ涙が止まらない。少しづつ思考が戻ってきて、いつもだったらぬるついている腹の辺りが乾いていて、まだ勃起したままだって気がついた。
オレ、いかなかったんだ。でも、いったよな?
「やりすぎた」
囁きながら迅が胸にオレを引き寄せて、背中を撫でる。その指先にぞくぞくと背中があわだつ。涙と汗でべとべとの頬に迅の唇が触れて、髪の毛を優しくかきあげる。
わんわん泣いているオレに迅はこれでもかって甘い言葉を囁いた。
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