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【番外編】大人になるには 学、大人の宿へ行く(5)完
可愛いとか、いい子だとか、どこが好きだとか、全部好きだとか。
それは一回り以上も年上で、おっさんのおれには全然相応しくない言葉だったけど、なんだか妙に不安でふわふわしている頭を静めるには、効果があったみたいだ。
「じん、じん」
まだぐすぐすと泣きながら顔をあげると、迅がキスをしてくれた。舌を出すと、迅がその舌を舐めてくれてほっとする。
「い、いまのなに」
「ん、ドライでいっちゃったんだ」
迅にそう言われて、あれがメスイキって奴かって思う。
迅が肌を撫でるとびくびくって身体が快感で震える。
「っあ、」
「まだ気持ちいい?」
うんって頷くと、迅が微笑む。
「派手に飛んだからね。一瞬……気を失ってさ。それから泣き出したから、やりすぎたなって……」
それは心配するよな。
「ごめん、」
「謝るのは俺で、学が気持ちよくなったのは、悪いことじゃないよね」
抱きしめられて、喉に迅の唇が触れると身体が震えた。
「迅は気持ちよく、なったか?」
「すごく、ね。中で出しちゃったから……風呂行く?」
身体に触れられると、びくんと身体が跳ねる。迅の指先がまだ硬さを保ったままのオレに触れる。
迅の唇が胸から腹に降りて行って、何をしようとしてるのかに気がついた。迅の頭に抱き付くとぎゅっと力をこめる。
「いや?」
腹に迅の息が当たって、快感で息が詰まる。
求めるように後ろがひくついた。
「や、じゃない、けど」
「けど?」
優しい声が促す。
「も、で、できない、か?」
迅が息を潜める。
それから、深いため息。当たる息に、身体がびくつく。
「したいの?」
「……し、したい」
「いいよ」
おずおずと腕を離すと、迅が身体を起こす。
「ゆっくり……きもちいいことだけ、しよ?
辛くなったら、必ず言って」
頷くと、迅が身を屈めて優しいキスをする。差し出された舌をうっとりしながら舐めまわしていると、乳首を柔らかく転がされた。
「は、あっ、んっ」
びくんと欲望が跳ねる。熱い手が体をなぞると、全身がしびれたみたいに気持ちよくなる。
「じん、じん、ああ、あん、あっ」
恥ずかしいくらいに声が出て、口を手で塞いだ。
「我慢しちゃだめだよ」
手を避けられて、キスをされる。先走りの流れる先を親指でこすられた。
「っ……ああっ!」
後ろがひくついて、戸惑った瞳で迅を見あげる。
「なんか、なんか、へ、へんだ」
「どう、変なの?」
「すご、きもちいい。どこ触っても、びくびくする」
「まだ余韻が残ってるんじゃないかな」
ううと声をあげる。
「ま、また、おかしくなる?」
「かも……怖い?やめる?」
「いやだ!」
迅の身体に取りすがる。視界が歪んで泣きそうになってるって気がついた。オレ、本当……無茶苦茶だ。そう思うんだけど、感情が昂ぶってて抑えが効かない。
「泣かないで」
ひくって震える喉に迅がキスをする。そこも気持ちがよくて、身悶えした。迅が腰を軽く揺らして、大きくなったものがこすれあった。
「ゆっくり、だよ」
迅がローションを自分とオレに垂らす。出したばかりなのに、もう完全に勃きあがった迅に息が荒くなる。
足が大きく広げられて、じれったいほどゆっくり身を沈めて来る。じれったさに腰を動かすと、咎めるように腰をきつく握られた。
「動かないで」
「むり、だ、ああっ」
急に押し込まれて、声をあげる。
「わるいこ」
迅が妖艶に微笑んだ。まだ精液を含んだままのそこがぐちゃぐちゃと音を立てる。
「んあっ。あっ、あっ、あん、あん」
リズミカルに動く腰とぱんぱんと肌が触れ合う音。
見せつけられるように持ち上がった自分の尻から、ぎちぎちに育った泡だった精液をまとわせた迅が出入りする。
「きもちぃ。じん、きもちぃよぉ」
「あんま、煽らないで」
「ひゃ、ああ、あ、そこいー、」
ローションでぬるぬるの手がオレを激しく扱く。
「いいっ、ああ、あん、きもちぃ、きもちぃ、ちんこ溶けちゃう」
「ほら、出して、見せて。濃いの吐き出して、まなぶ」
「ふぁ、っあああ、ああっ」
身体が丸まって自分のものが精液を吐き出すのが見えた。胸まで飛んだものが身体を濡らす。止めを刺すように迅が中を荒して行く。早いピッチに目が眩んだ。
「あ、ああ、あ、」
「やば、中、うねる」
その声に、穴がひくつきながら迅を締めあげる。どくんと中に吐き出した感触。それが何度も続いて、声をあげた。
朦朧としてるオレを迅が風呂に運ぶ。ぺちっと頬を叩かれて、ペットボトルを口の前に差し出された。
「飲んで」
叫びすぎて、喉ががさがさだったから、素直にそれを口に含む。飲み下していると、だんだん意識がはっきりして来た。
なんかすごい風呂だな。
円形の……これ、ジャグジーってやつか?
「飲んだら、中を洗うから」
ざっと身体を洗って、湯の中に入ってきた迅に言われて、どきっとする。
「じ、じぶんで……」
「まだ、ふわふわしてるから、危ないよ」
「そんなこと……な」
「じゃあ、出来なくなるまでしようか」
ぱしゃんと音を立てて、迅がのしかかって来た。綺麗な顔が残酷な微笑みを浮かべる。
シャワーを浴びた身体は濡れていて、髪の毛がストレートになってる。毛の先からしたたった水滴が顔に落ちて、思わず目を閉じた。追いかけるように、唇が触れ合う。
差し出された舌を当たり前のように受け入れて絡めあう。おぼつかなくなった手から、ペットボトルが取り上げられてどこかに置かれた。
まだ肌は敏感で、乳首を撫でられると声が漏れる。
「んっ、んあっ、ああ」
「中ですると、のぼせるからね」
お湯から立ち上がった迅のものはもう大きくなっている。とろりとした視界でそれを確認して、喉を鳴らした。
「おいで」
差し伸べられた手をつかんで立ち上がる。
ジャグジーを出るとそのままふちをつかまされて、後ろを開かれた。足の間を体温で暖まった何かが伝い落ちる。
「う、あ、」
「すぐ、入りそうだけど、かきだしちゃう?」
根元まで入った指が中でぐちゅぐちゅと音をたてる。
撫でる指先に身体が震えだすのを感じた。
「まなぶ?」
おっさんなんだ、無茶するなよ。
そう言うべきだって頭のどこかで囁く声がする。だけど、オレの欲望はもう芯を持ち始めていて、指をより深く受け入れるように腰が動く。
おずおずと後ろを振り返えると、知ってるよって顔で迅が微笑む。大きくなったもの。それをゆっくりと尻の上に這わされた。
その熱さにびくっと震える。
「どうしたい?」
焦らすように迅のものが尻の間を撫でる。
「じ、じんは?ど、どうしたいんだ」
「したい」
腰をつかむ指先に力が入る。迅の微笑みが深くなって、目の色が濃くなった。
「学が可愛い声で喘いで、尻を振りながら、俺の精子欲しがって泣いちゃうとこが見たい」
その暗い声にぞくぞくと全身が震える。
身をよじって、迅の唇に噛みつくと尻を迅に押しつける。
「ヤって、じん」
少し離した口元で囁く。
悪魔のように微笑んだ迅が赤い舌で唇を舐めると、オレの頭をぐいっと下に押し付けた。
その乱暴さに声が漏れて、ぴくんと下が反応した。
散々挿れられ、慣らされた穴は簡単に迅を飲み込んだ。
「う、あっ、あ、あっ、んあっ」
後ろから突き上げられて、熱をもったオレが激しく揺れる。ぱんぱんと後ろを突く音に併せて、ぴたんぴたんと音を立てた。
「学もすごく、感じちゃってるね」
迅が腰を回して、ぐるりと中を抉る。
「っ────っああ!」
緩んだ中を思いきり突きあげる動きに叫んだ。
「ひゃあ、ああ、うあ、あ、」
首筋を舐める舌。肩の後ろに歯が立って思いきり齧られる。
「んあ、ああ、」
きっと歯型がついただろう。ああ、だけどそれが凄くいい。前に回った手が乳首を思いきり引っ張る。こりこりと揉まれて、身体が仰け反る。
「いたい?」
「わ、わからない」
痛いはずのその行動は、感じている間はただひたすらに快楽だけを与えてくる。終わった後には痛んで後悔するけど。
その間も迅は腰を動かしていた。
「きもちいいけど、なかなか終わらないかな」
くすりと笑って、尻をつかまれて回される。
「三回目だもんね」
簡単に終わらせるつもりがないんだとぞくっとする。きゅうとしまる後ろに、迅が声を漏らした。
「ほら、煽っちゃだめでしょ?」
ぐいぐいと入り込む迅に目の前が霞む。
「ゆっくり、しよ?」
そういう割には、迅の腰は早いピッチで揺れ続けている。
きっと、またぐずぐずに溶かされてしまうんだろう。
でも、別にそれは嫌じゃない。
だって、だって、オレは…………
「な、じん、」
揺すぶられ、短い息に乱れた声でつぶやく。
「なあに?」
「な、な、オレ……すきだ、じんがすき」
動きが止まって、ああと嘆くような声が聞こえた。中のものがぎちぎちに膨らんでいくのを感じる。手が伸びてきて、頭を捕まれて乱暴なキスをされた。混ざる唾液と吐息に、背中がぞくぞくする。
笑いのない真っ黒な瞳がオレを覗きこんだ。
嘘を探るその瞳。オレはそれを、ただ真っすぐに見かえす。
本当に、本当に好きだ。オレには迅だけだ。
緊張した一瞬。
その瞳が和らいだ。ゆらゆらと暗い底から光が浮かぶ。
形のいい唇が開いて、言葉を紡いだ。
「俺はね、愛してるよ。誰よりも」
【ex:HappyEnd】
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