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【番外編:一花】求めたっていい(2)
くちゅくちゅと学が俺をくわえて頭を動かす。
服を着たまま、前だけを広げた俺と、すでに全身を脱いでいる学。
それだけで退廃的だ。
思うさまに喘ぐことのできない学と、学を喘がせることを趣味にする俺の間ではこのプレイはいつでも時間のかかるものになる。
それでも、奉仕する学を見ているのは好きだったし、やめさせようとは思わなかった。
真っ赤な顔で、はふはふと息を吐きながら、口を精一杯すぼめて俺を根元までしゃぶる学は必死でかわいい。時々微妙に腰をつきあげてやると、喉の奥がきゅっと締まる。
「ん、ん……っ」
弱々しい声に頬に手を当てると、苦しさに歪んだ視線が俺を見る。
「やめる?」
囁くと、潤んだ目が大きく開いて微かにいやいやをする。顎がふるふると震えてえづくほど深くくわえこんで、何度も動く。しかし、俺はおそらくこの刺激で達することはないだろう。決して学の愛撫がつたないわけではない。単に俺の学への好みがいたぶることや、支配する方向に向いていて奉仕されるだけでは満足ができないだけなのだ。
くわえすぎた学がげほげほと咳きこんで俺を吐き出す。
苦しそうな顔、唾液にまみれた唇がそれでもと俺を求めて動く。
「もういい」
そう言って伸ばした手を、学がつかんで頬に押しあてた。潤んだ瞳が俺を見て、躊躇うようにごくりと息を呑みこんだ。
「使ってくれ……」
濡れた口が貪婪に開いて、真っ赤な舌が誘うようにひらめく。
声を出さないと達することができない学を俺が理解し、受け入れているように、学もまた俺の性根を知っている。
観察する対象として沢山の人間をただ見て来た。そんな生活をしていた俺は本当の意味では、他人に興味がない。自分で状況を変えることは俺の仕事ではなかったからだ。
けれど、この恋人だけは違う。俺の興味の対象、執着の根源である、学。
声をあげるのを聞きたい、支配したい。
それを甘受されているという、この暗い歓喜。
「オナホみたいに、されちゃうよ?」
紛れもない喜びがその平凡な瞳に浮かぶ。
「して」
指が食いこむほどにその顔をつかむと、膝をたてて、深く自分をつきたてた。
いつもはそこまでは入れない場所をえぐられて、学の喉がひくつく。尻に回された手が離れないのを確認しながら、何度も口の中を犯す。
「んっ、んっ……ん、……あ」
先ほどとは違う俺に、学が嬉しそうに口角をあげた。
怒張した筋を、れろと舌がなぞって、吸い上げる。お仕置に軽く、喉の奥をつきあげた。
「ふ……え、……ぐ」
「あんまり悪戯しないで」
苦しそうにうめく学に微笑みかける。
「や、」
舌がまた蠢いて俺を刺激した。
「これが好きなんだ?」
びくりと肩が跳ねて、みあげた瞳が更にじわりと潤んだ。
ん~。こくりと頷いた学は本当に俺の好みだ。
容赦のない抜き差しをしながら学を観察する。
限界を見計らいながら、何度も熱い口の中を堪能した。
中年男性の醜い喘ぎ声が、これ以上にないほど俺を煽っている。
なんの合図もなく、そのまま放つ。
躊躇いなく喉が動いて、出たそれを嚥下していく。含み切れなくなったものが唇の脇から流れ出た。
それを親指ですくいあげると、はふと開いた唇が親指ごと含んで、ちゅ、ちゅと可愛い音をたてて舐めとっていく。
とろりと潤んだ瞳。ぷっくりと膨らんだ小さな乳首。慎重に鍛え上げられた肩、胸の筋肉と、薄く割れた腹筋。腰が砕けてへたりと座り込んだ脚の間の欲望は、完全に立ち上がったままだ。ぬるぬるとした先走りで濡れ切ったそこが黒い陰毛の間から姿を見せている。
全くどこを切り取っても、その姿は男以外のなにものでもない。
けれど、学は女だ。俺だけのかわいい女の子。
「まなぶ」
甘く呼ぶ声に、学はうっとりと目をあげる。
その唇を優しく奪って口内を舐めまわす。
「んっ、んあっ、あ、はっ……あん、あっ」
ぴくんぴくんといやらしく動く学を腹で感じながら、喘ぐ声を楽しむ。自分でこすってしまわぬように、腕をすくいあげて肩に回した。ぴんと立った乳首をくりくりと親指でこねると、つまんで痛むほどにひっぱった。
「じん、じんっ……」
まだ一度も達していない学は、今は痛みよりも快楽を拾うらしい。くぐもった叫び声をあげながら腰が揺れる。濡れた学が俺の服に筋をつけた。新しく吐き出した先走りが、ぬめりながらその色を濃くした。
「今日は沢山吸い取ってくれるんだから、そんなに早くイったらダメだよ」
「だって、オレ……」
「ダメ」
きゅうと学の喉が音をたてた。くしゃりと歪んだ顔、涙目が俺を見る。
負けてしまいそうになる自分は本当に学には甘い。
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