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おかしな後輩4
ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、もそもそと弁当を食べる俺を見つめる里中。
結局弁当を食べることになった俺は、教室で食べるのも抵抗があり、里中と屋上にやって来ていた。
少し肌寒いが、今日は日差しが暖かい。
これで目の前のニパニパ笑ってる後輩がいなかったら尚心地よいのだが。
白米の上の自分の顔に箸を突き刺して、俺はジトリと里中を睨み付ける。
「弁当食べた代わりに絵を描かせてとかは無効だからな」
「そんなこと言いませんよ。おれはただ、藤井先輩にお弁当を食べて欲しかったんです」
そう言ってにこりと微笑む里中。
落ち着いた様子に、少し意外に思い手が止まった。
「先輩。お弁当、美味しいですかっ?」
「……おぉ」
「えへへ。それはよかったです!」
考えてることの読めない、おかしなやつ。
なんだかひどく、調子が狂う。
口に入れた卵焼きは、いつもより甘い味付けだった。
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