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おかしな後輩8
「へぇ〜。陽彩ちゃん美術部なのっ?似合うわぁ〜。絵になるわぁ〜」
「ど、どうも…」
すっかり里中にメロメロな由利子さんに、疲れ果てた様子の里中は苦笑いを浮かべる。
周りも同情の目を向ける中、いつの間にか自分用に用意したお茶をすすって、由利子さんは話し続けた。
「でも男の子で美術部って珍しいんじゃない?」
「まぁ、そうですね。男子は2年に1人、先輩がいるだけなので」
「も〜。そんなのだったらモテモテでしょ〜?」
「いや、なんか。子供というか…、ワンコ扱いされてます…」
だろーな。
簡単に頭に浮かぶ。
俺が1人納得していると、パクリとお好み焼きを食べた正樹が続けて尋ねた。
「美術部入ったのは、やっぱり絵を描くのが好きで?」
「はい。小さい頃から絵というか、色に触れる機会が多かったので」
色と言われて違和感を覚えたが、知識があるわけでもないので口は挟まないでおく。
「それにおれ、体が弱いから中学の時は帰宅部で」
「えっ。陽彩って体弱いのっ?」
驚いたように玖保が言うと、里中は恥ずかしそうに小さく頷いた。
ってかなんでいきなり下の名前で呼んでんだよ。
まぁ別に、だからどうとかはないけども…。
「それである時、課題で描いた絵がコンクールで入賞したらしいんです。それを知った幼馴染が、高校では美術部に入ったらどうかって」
「幼馴染?」
「はい。小さい頃から一緒で、今はクラスも一緒なんです」
「へー。それって俺たちと同じだなっ」
そう言って肩を組んでくる正樹に肘鉄をくらわせる。
俺に対してこうも馴れ馴れしいのはこいつだけだ。
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