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気になる?後輩4

「こんな愛想悪い俺なんかといても楽しくないだろ」 「っ、そんなことないです!」 何の気なしに言った言葉だったが、想像以上に強く否定されて面食らってしまう。 里中は怒りさえ滲んだ瞳でこちらを見つめてその両手をギュッと握りしめた。 「おれの好きな人を、そんな風に言わないで下さい!」 「……は?」 今こいつ、なんて言った? スキ? スキって、どの好きだ? 「おれっ、先輩に恋しちゃいました!」 「は!?」 恋って、じゃあそっちの好きか…!? いやっ、でもっ、そんなのおかしいだろ…!? 「男同士だぞ…!?」 「分かってます!」 「分かってない。絶対に分かってない…!」 「先輩!恋は感じるものではなく、落ちるものなんです!」 「ドヤ顔で言われても意味分かんねぇよ…!」 一体何がどうなってるんだ…。 俺は幻でも見ているのか…? 「待て。まず落ち着け…!」 「落ち着いてないのは先輩です」 「うっ…。とにかくっ、お前のそれは何かの勘違いだ。第一なんでそんな考えに至ったのかが全く分からん」 「それは…」 直ぐに言葉を返そうとした里中だったが、一度口を閉じて何かを考えるように俯いた。 やっぱりよく考えたら違ったのではないか? 黙り込む里中を見つめてそう思い、 何故か胸の辺りが苦しくなった。 ………苦しく? なんで俺が苦しくならなきゃならない。

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