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気になる?後輩6

「だからなのか?」 「え?」 「だから、絵を描きたいと思ったのか?」 俺の問いにきょとんとした里中は、次にはもじもじし始める。 こういうことを正樹あたりがしたら気持ち悪いだけだが、里中がやっても違和感がないのはどういうことなのか…。 「それもありますけど…」 「?」 小さく呟いた里中は、赤らめた顔を俯かせて言葉を続ける。 「先輩と、仲良くなりたくて…」 「…は?」 「でも先輩って孤高の存在って感じだから、どう声をかけていいのかと…その…」 言い淀み、次には照れたように「えへへ」と笑う里中。 その姿にまた感情が込み上げ、胸がいっぱいになる。 あーもう…。 こいつは、ほんと…。 「…ってやる」 「へ?」 「やってやる。お前の、絵のモデル」 「!」 途端、里中が目をまん丸にした。 信じられないものを見るように、こちらを凝視する。 あまりにも視線が痛くて顔を逸らし、俺は少しぶっきら棒に言い放った。 「描くのか、描かないのか、どっちなんだ」 「えっ。あ、か、描きます!描かせてください!」 …まったく。俺はどうかしている。 里中と接しているせいで、思考がおかしくなってしまったのだろうか。 未だ胸に広がる温かさ。 それが何なのか。 俺にはよく、分からない。 パクリと唐揚げを食べる。 やっぱりこいつ、料理上手だな…。 「…俺、流石に弁当代払った方が良くないか?」 「へ?い、いいですよ別に…!おれが好きで作ってるんだしっ」 「いや、払う。なんか罪悪感を感じてきた…」 「そんなっ、勘弁してくださいぃ…!」

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