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I LOVE 先輩
休み時間。
ふと窓から外を見ると、中庭に藤井先輩の姿があった。
あぁ。今日も相変わらずかっこいいなぁ。
どの部分をとってもかっこいいなぁ。
こんなにかっこいい人がいてもいいのだろうか。
神様は随分と思い切ったことをする。
「尊いの極み…」
「…何言ってんだ、陽彩 」
マジ顔で呟く陽彩に、クラスメイトであり幼馴染の浅野 秀明 は、弄っていた携帯から視線を上げた。
「ヒデちゃん!あからさまに引き過ぎ!」
「いや、だってお前な…」
そう言って苦笑いするヒデちゃん。
彼は小さい時からおれの面倒をみてくれる、頼れるお兄ちゃん的存在だ。
体が弱く、内気な性格だったおれをいつも気にかけてくれて、そのせいか今でも心配性なところがある。
昔はおれのこと「ひーちゃん」って呼んでたけど、中学生になってからは「陽彩」って呼ぶようになった。
その理由は、聞いても答えてくれない。
単純に、恥ずかしくなったからだろうか。
「あーあ。先輩と幼馴染で隣の家に住んでたらなぁ。朝登校する時は一緒して、おれが寝坊すると部屋まで起こしに来てくれるんだ。……って、あれ。それってヒデちゃんじゃん」
「へーへー、俺で悪かったな」
今言ったことをそっくりそのままヒデちゃんにしてもらっていることに気づき、あれ?と首を傾げる。
そんなおれに呆れたように溜息をついた幼馴染は、頬杖を付きジト目でこちらを見た。
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