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I LOVE 先輩7
赤色、黄色、青色、緑色、紫色……。
生まれた時から、他の人には見えない色が見えていた。
初めは何故それぞれ色が違うのか、その色の意味はなんなのか分からずにいた。
小学校2年生の頃。
おれの知識として、赤色になったら危険、ということは理解していた。
赤は怒りを表す色。
叱る時や、喧嘩になる時、人はいつも赤色になる。
ある時、いつもニコニコ笑っている担任の女の先生が赤色に見えた時があった。
おれは考えなしに先生に「なんで怒ってるんですか?」と聞いた。
その時の先生の驚いた顔は、今でもよく覚えている。
まるで信じられないものを見るような目だった。
それからどんどんと、周りの色が怖くなった。
人は大抵、本性というものを隠している。
でも色は隠すことはできなくて、そのちぐはぐさが不気味だったのだ。
体が弱く内気なおれは、いつもヒデちゃんと一緒にいた。
ヒデちゃんは友達が多く人気者だったのに、いつもおれに気を遣ってくれた。
今もこうして無事に学校へ通い続けられているのも、ヒデちゃんのおかげだったりする。
高校もヒデちゃんにくっ付いて来た感じだ。
おれの方が学力が低いから、ヒデちゃんに手伝ってもらって必死に受験勉強をしたものだ。
受験シーズンの頃、体調不良で何度か保健室にお世話になっていたおれは、その日もベッドで横になっていた。
こんなんじゃダメだ。もっと頑張らなきゃと思うのに、体がいうことを聞かない。
周りからすれば、おれはただサボっているようにしか見えないだろう。
こんな弱い体の自分が憎らしい。
なんでおれは、周りと違うのだろう。
体も弱いし、変な色も見えるし、普通じゃない自分が嫌で嫌で仕方がない。
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