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I LOVE 先輩9
「ヒデちゃんは、ただの幼馴染だよ…」
「でも里中って、可愛い顔してんじゃん。秀明のやつだって、絶対その気あるだろ」
「っ、ヒデちゃんをそんな風に言わないで…!」
一体なんなんだ。
何が目的でこんな話をしてくるんだ。
おれが声を荒げたのに驚いたのか、目を見張った水谷くん。
でも次にはその目を細めて、愉快そうに笑う。
すると次の瞬間、
強い力で押し倒され、体を押さえつけられた。
「な、なに…っ?」
「俺さ、秀明の気持ち分かんだよ。里中相手だったら、全然イケるし。つーか…」
「っ、やめ…っ」
「お前見てるとすげえ、…興奮する」
いきなり首筋を舐められて体が強張る。
気持ち悪い感覚に全身に鳥肌が立った。
色が…どんどん濁って…。
いやだ…、助けて…。
この色が、怖い…っ。
「陽彩!!」
大きな音をたてて開け放たれた扉。
次には体にかかっていた重さがなくなって、水谷くんの姿がなくなっていた。
「いって…ッ。何しやがる秀明!」
「それはこっちの台詞だ!お前、陽彩に何しやがった!?」
「はっ?別に何もしてねぇよ!」
「嘘つくな!」
ヒデちゃんは苦しそうに顔を歪める。
彼が何故そんな表情をするのか、おれには分からなかった。
「…とにかく!このことをチクられたくなかったら、今後陽彩に近づくな!お前高校、推薦なんだろ。問題起こしたら全部白紙だぞ」
「……ッチ。何マジになってんだ、クソッ」
荒々しく保健室から出ていく水谷くん。
それから暫く、おれは固まったまま動けずにいた。
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