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I LOVE 先輩10
桜の木の下で、たくさんの人が写真を撮っている。
みんな着慣れないブレザーを身に纏って、新しい学生生活を始めようとしていた。
なんとか受験を乗り越え、おれは晴れてヒデちゃんと同じ高校に入学できた。
受かったことは嬉しかった。
嬉しかったが、心から喜べない自分がいる。
今のおれは、色を見る事がこれまで以上に怖くなっていた。
それでもヒデちゃんのおかげでなんとかここまでこれた。
こんなに心をすり減らせて、やっと高校生。
まだこの辛い思いが続いていくのかと思うと、今にも叫びだしそうだ。
高校生活、大丈夫かな…。
今も色に怯えて俯いたままのおれは、不安で埋め尽くされている。
その時
「おーい刻久ー!俺たちクラス同じだぞ!」
「へー、そっか」
「反応薄っ!?」
ふとした会話に、なんとなく視線を向ける。
その瞬間…
「…っっ!」
おれはあらん限り目を見開いていた。
「……きれい」
その人の色は、今までに見た事がないほど透き通った、綺麗な色をしていた。
あまりの綺麗さに目が釘付けになる。
呼吸さえも、一瞬忘れてしまう。
なんであの人は、あんなに綺麗な色をしているのだろう。
先輩、だよな?
学年は、3年生?
「おーい陽彩ー。クラス行くぞー」
「っ、あ、うん!」
ヒデちゃんに声をかけられ我に返る。
慌てて駆け出しながら、おれの胸は終始ドキドキしていた。
話したい。
あの先輩と、話がしたい。
いつの間にか、先程まであったたくさんの不安は綺麗になくなっていた。
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