季節は夏。 すっかり明るい時間が長くなり、夜でも蒸し暑いようになってきた。 そんな暑い毎日が続く中で、何故だかおれは、鉄板の前にいる。 「いやーごめんな陽彩ちゃん。由利子さんが『陽彩ちゃんは今度いつ来るの？』ってうるさくて」 「うるさいとは何よ！おばさんにだって常にトキメキは必要なのよ！綺麗の秘訣なんだからっ」 「あーはいはい。今日もモッチモチなお肌ですねー」 今日は三浦先輩に誘われてお好み焼きを食べに来ていた。 おれは今までヒデちゃん以外の人とは一線を引いていたから、こうして遊んだりというのも殆どない。 だからこそヒデちゃんはおれが刻久先輩にメロメロなことに驚いているのだが、実際今回も誘われた時は少しばかり考えてしまった。 それでも来たのは、前来た時に居心地が良く感じたのと、刻久先輩はもちろんのこと、他の人たちもみんないい人たちで、色だって綺麗だったから。 だから、来たのだけれど… 日差しが照りつける道をフラフラになりながらやって来ると、入った途端きゃあきゃあと由利子さんに抱きしめられ、頬を揉まれ、髪を触られ… しまいには「ほんとプルプルな唇よね〜」とキスまでされそうになった（それは流石に三浦先輩が止めてくれた）。 由利子さんの色は凄く眩しくて、見ていると目がチカチカしてきそうだ。 基本テンションの低いおれは、完全に笑みが引きつってしまう（刻久先輩の前ではテンションが上がってしまうのだけれど）。