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新鮮な先輩7
「……ばーか」
「ぇ、…っいた」
きょとんとするおれに、ヒデちゃんはデコピンをくらわせてきた。
何が何やら分からず、おでこを押さえて動揺していると、幼馴染はふっと笑みを浮かべる。
その笑みが、どこか悲しそうで
おれはますます混乱した。
「あの、ヒデちゃ…」
「とにかく!あんまり思い詰めるなよ。俺……応援するからさ」
「ヒデちゃんっ」
待って。
なんで、ヒデちゃんがそんな顔をするの?
おれは不安で、無理やり身を起こし彼の腕を取ろうとする。
でもその前にヒデちゃんは立ち上がって、おれの伸ばした手は届かなかった。
その時
「陽彩…!」
「っ、…え?」
勢いよくドアが開いた。
その向こうにいる刻久先輩は息を切らしていて、今はお昼休みなのにまだ体操服を着ている。
そんな先輩に驚いていると、ポンと頭に手が乗せられた。
見上げればヒデちゃんが微笑んでいて、おれはなんだか胸が苦しくなる。
「じゃあ、俺はもう行くな。具合悪いなら無理せず帰れよ」
「あの、ヒデちゃ…」
「藤井先輩、ですよね。……あと、お願いします」
そう言うと、秀明は刻久の隣を通り過ぎ、保健室を出た。
無言で廊下を歩き続け、渡り廊下を曲がったところで立ち止まる。
壁にもたれかかり、フーッと息を吐いた秀明は、上を見上げた。
「あーあ。失恋したな…」
小さな呟きは、誰もいないその空間で静かに消えていった。
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