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はじめては先輩3

  テレビを無言でジッと見つめる陽彩。 かじりつく勢いの後輩に、俺は少し離れた場所でその姿を眺めていた。 陽彩の見ている番組は、所謂「心霊現象」に関する内容のバラエティ。 それに興味津々な陽彩を意外に思いながら、俺は恐る恐る声をかける。 「…お前、そんなにも幽霊が好きなのか?」 「え?…うーん。好きというか、不思議だよなぁって好奇心?ですかね」 「…怖く、ないのか?」 「怖い?」 その時テレビから大きな叫び声がして、反射的にピクッと体が揺れてしまう。 少しビビった姿を見られてしまい、羞恥で顔が熱くなった。 そんな俺をテレビを見ていた時のように凝視する陽彩は、首を傾げる。 「…先輩、おばけ怖いんですか?」 「っ、そ、それほどでもない」 見抜かれて目を泳がせてしまった。 バレバレな俺を見つめ、陽彩はポツリと呟く。 「なんかおれ、キュン死にしそうです…」 「っ、は…?」 「クールな先輩がこんなのって、ギャップ萌えの暴力ですよ」 まるで全てを悟ったような顔をしてそう言う陽彩に、少し面白くなくなる。 なんだってんだ。 俺だってそこまでビクビク怯えているわけではないぞ。 「あ、そうそう。おばけの色って無色なんですよ」 「エッ…」 あからさまに顔を引きつらせる俺に、陽彩はしてやったりと笑みを浮かべる。 そんな後輩に何か反論しようとすると、コンコンっとドアがノックされた。 「お兄ちゃーん。ご飯できたってー。あと食べ終わったらお風呂入りなだってー」 「あ、あぁ分かった」 今のでタイミングを逃して口ごもると、陽彩はクスクスと笑ってテレビを消した。 「…じゃあ、行くか」 「はい」 ニコニコ笑って後をついてくる陽彩。 俺は階段を降りながら後ろを振り返って強めに指摘する。 「ほんとに、怖いとかじゃねーから」 「ふ〜ん。そうなんですか〜」 …絶対信じてないな、このワンコめ。 恨めしい思いで眉を寄せると、陽彩は「ほら。前見なきゃ危ないですよ」と肩をポンポン叩いてくる。 まだ反論したかったものの、諦めて前を向いた。

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