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バスケ部の先輩5
「駅まであと少しだから。気分悪くなったらおぶってやる」
「せっ、先輩イケメン…!惚れ直します…!」
「そりゃどーも」
これだけ元気なら大丈夫か。
そう判断しホッとしていた時…
何故か前方に赤いスポーツカーが停まった。
見るからに高級車だ。
目立ったピカピカの車に目を奪われていると、隣から「げっ…!?」と焦ったような声がする。
見れば陽彩が青い顔をしてスポーツカーを見つめていた。
俺が首を傾げていると、その車のドアが開く。
中から出てきた男性は、その長身でこれまた高級そうなスーツを完璧に着こなしサングラスをかけていた。
ぱっと見外国人かと思ったが、判断しきれない。
男性はこちらに体を向けるとサングラスを外し、次には飛びっきり爽やかな笑みを浮かべる。
「やぁ陽彩!会いたかったよ!」
その言葉に反射的に隣を見れば、陽彩はピクピクと顔を引きつらせ、体調の悪そうな顔をしていた。
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