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知らざる後輩3
陽彩と幼馴染の彼にとって、椋は頼れる兄的存在だ。
言うなれば長男が椋、次男が秀明、そして末っ子が陽彩のような関係図になっている。
「おーヒデ、久しぶりだな」
「椋さん戻ってきてたんすね!ったく陽彩、なんで教えてくれねぇんだよ。……って、お前何してんだ?」
「……」
未だ蹲ったままの陽彩に、秀明が首を傾げる。
それに無反応の陽彩に、椋はやれやれと笑みを浮かべた。
「俺が学校まで迎えに行ったら、すっかりへそ曲げちゃって」
「迎えって…、あ。もしかして下校時間に騒がしかったのって、椋さんが来てたから?俺ギリギリまで体育館いたから気付かなかったー」
「悪気はなかったんだけど、もう迎えに来るなって言われてしまった。お兄ちゃん悲しいよ…」
「あー。まぁ陽彩、目立つの嫌いだもんねー」
笑顔で指摘され、今ばかりはヒデちゃんの言葉でも煩わしく感じてしまう。
「そういえばヒデ、何か用があって来たのか?」
「あぁ。さっきママさんと外で会って中入れてもらったんだけど、ウチの母さんがこの肉まん熱いうちに持ってけって」
そう言って袋を差し出す秀明に、椋はそれを受け取りながら首を傾げた。
「肉まん?なんで肉まん?」
「いやー、なんか母さん手作り肉まんにハマってて、つい作り過ぎたらしい」
「えっ、手作りっ?すごいじゃん。うちの母さんなんて料理全然だし。代わりに陽彩が世界一美味しいご飯作ってくれるけど」
「すごいって言っても、肉まん作りに最適な電化製品を買ってから、毎日肉まん肉まんで困るよ…」
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