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知らざる後輩5
「なんかさぁ。2年ぶりに会ったら、陽彩から妙に色気を感じるんだよねぇ」
「っ、い、色気?」
「初めはついにヒデが告って付き合ったのかと思ったんだけど」
「ブ…ッッ!?」
さらりととんでもない事を言う椋に、秀明は青ざめる。
え。椋さん知ってたの??いつから??
「2人が中学生に上がった時には確信してた。まぁそれから俺、すぐ日本出ちゃったからなー。ほんとはヒデと色々話をしたかったんだ」
「……あの、俺は、別に…」
「ヒデ。俺は別にお前が告った告ってないでどうこう言いはしない。だけどなに他の男に横取りされてんだって話だ。分かるか?」
「……」
おっかねー…っ。
いつもよりワントーン下がった声音の椋に、秀明は縮み上がる。
その鋭い目付きだけで背筋が凍った。
目だけでこんな怖いと思うのは椋さんだけだ。
「…なぁヒデ。1つ、頼まれてくれるか?」
「え?は、はい!なんでしょうか!?」
肩に腕を回された秀明は、拒否権ゼロのお願いに頷くしかないのだった。
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