75 / 90
ピンチな後輩2
あ。考えたらどんどん自信がなくなって来た…。
もし先輩に彼女ができてしまっても、おれはきっと責めることも縋ることもできない気がする…。
だっておれが強引に関わっていったから今があるわけで、初めはただ話せればいいなぁと思っていたのが、おれのわがままで先輩を巻き込んでしまったから…。
「これから、か…。先輩との、これから…」
考えないようにしていたのだろうか。
いや、これまで幸せすぎて浮かれていたのだ。
先輩がおれを受け入れてくれたことが何よりも嬉しくて…、嬉しくて…。
もし先輩に愛想を尽かされてしまっても、そうなるギリギリまで先輩の側に居続けたいな…。
あはは、おれってかなり気持ち悪かったりして〜…。
「……ん?」
あれやこれや考えながら靴箱を開けたおれは、次には動きを止めていた。
靴箱の中に何か入っている。
見れば一通の手紙のようで、おれは不思議に思いながら紙を開いた。
《君には俺の方が相応しい》
「…なに、これ…」
その文面に体が固まった。
これは、なんだろうか…。
何かの悪戯…?
でも相応しいってどういう…。
「……間違えて、入れられたのかな…?」
宛名も書いていないようだったし、何も調べようがないならどうすることもできない。
間違いにしても、悪戯にしても、この一回きりで終わることを願おう。
「椋兄にバレないようにしないとな…」
無駄に事を大きくされても困る。
っていうかあの人、いつまでこっちにいるんだろう…。
いい加減家での過度なスキンシップに蕁麻疹が出てきそうだ…。
「早く帰ろ…。遅くなると何言われるか分かんないし…」
入っていた手紙は少し悩んで仕方なく鞄の中に入れた。
何気なくの行動。
この時は他に考え事も多かったせいか、その出来事をほんの些細な事にしか認識していなかった──。
ともだちにシェアしよう!