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ピンチな後輩3

「あ…」 入っている。 また、あの手紙だ。 今度は朝、靴箱を開けるとそれを発見し流石に怖くなった。 恐る恐る手に取り、中を見る。 そこには《俺を選んで》というメッセージ。 そして、一枚の写真が入っていた。 「…っ!?」 写真に写っていたのは、美術室で絵を描いている自分の横顔だった。 なんで…。 こんな写真、撮られた覚えはない…。 ──もしかして、盗撮…? その時クラスメイトの子がやって来たので、反射的に手に持ったそれを鞄の中に押し込んだ。 心臓がバクバクいっている。 これって、ヤバいのかな…? でもおれ、男だし…。怯え過ぎ…? 相手は女子だろうか…。 でも、俺って言ってるし、男…? 心当たりなんて、あるわけがない。 こんな、ストーカーみたいなことされる心当たりなんて…。 それから手紙と一緒に入れられた写真はどんどんと過度なものへと変わり、枚数も増えていった。 朝部に向かうヒデちゃんと昇降口前で別れるところ。 刻久先輩と並んで廊下を歩いているところ。 体育前の着替えているところ。 ついには家に入って行くところも写真に撮られていてゾッとした。 こんな所まで、つけられて…? そして何より恐怖したのは、撮られたヒデちゃんと刻久先輩に大きく《✖️》が付けられていたことだ。 それに手紙の差出人を見たわけでもないのに、禍々しい色が滲んでいるように思えて手が震えてくる。 写真と手紙は捨てたことで誰かに見られるのも怖くて、自分の部屋の机にある引き出しへ押し込むことしかできなかった。

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