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ピンチな後輩8
「明日の放課後にでも、先生に相談してみます」
担任の先生も苦手というわけではないが、おれとしては部活の顧問の先生の方が打ち明けやすい。
玖保先輩はホッとしたように笑みを浮かべて頷いてくれた。
そして「その…」と言いづらそうにおれに尋ねる。
「これって、刻久先輩にも、言ってないんだよな…?」
「…はい。迷惑、かけたくなくて…」
「うーん…。俺的には、刻久先輩にこそ伝えた方がいいと思うけど…」
「……」
「いやっ、まぁ、別に咎める気は無いから…!悪りぃ、不躾なこと言った…!」
焦った様子で謝罪する玖保先輩に、こちらもあわあわと動揺してしまう。
おれとしても刻久先輩に何も言わないのは、気遣いというより逃げのような気もしていた。
言うことが正解なのかどうか。
それはよく分からないけど、きっと刻久先輩は話して欲しいと思うだろうな。
おれだって、先輩が危機の時に何も知らされなかったら傷つくから…。
***
部活が終わってから、ちゃんと先生に相談する。
そう考えどこかそわそわしながら帰りのホームルームを終え、席を立った。
今日も朝、靴箱に入っていた手紙と写真。
その嫌がらせなのかストーカーなのか分からない行為は、未だ終わる気配はないようだ。
「おーい里中ー」
「?」
鞄を取った手を止めて、呼ばれた方を向く。
そうすればクラスメイトがやって来た。
「なんか伊藤先生が用があるらしいよ。化学準備室にいるみたいだ。里中、今日日直だろ?」
机にある日誌をチラリと見て言われ、コクリと頷く。
すぐに部活へ行って絵を描きたいが、日直の仕事なら仕方がない。
伊藤先生は化学の先生だ。
今日課題の提出物があったから、それ関係だろう。
伝えてくれたクラスメイトにお礼を言って、荷物を持ち廊下に出た。
まず職員室によって、担任の先生に日誌を届けてから向かおう。
そう決めた陽彩は少し早足気味に歩き出すのだった。
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