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ピンチな後輩9
「刻久先輩!!」
「っ!?」
「なんだー?」
突然大声で名前を呼ばれ体がビクついた。
扉の方を見れば玖保が立っていて、真剣な表情でこちらを見ている。
周りからも注目されてしまい、「なんだ告白かー?」「さすがトキ様ー」「陽彩くんのライバル出現だなー」と冷やかされる始末。
そそくさと玖保のところへ向かえば、何故か正樹までくっついて来た。
「おい、なんで来る」
「んー、なんとなく?」
それに溜息を吐き、勝手にしろと歩みを進める。
玖保は真剣な顔をしていて、何かあったのかと僅かに動揺した。
側に行きどうしたと尋ねれば、玖保は思い悩んだ顔で何かを言い澱んでいたが、やがて覚悟したように切り出してくる。
「あのっ!本人からは言わないで欲しいって言われてるんですけどっ、やっぱ俺我慢できなくて!」
「? なんのことだ?」
唐突な切り出しに首を傾げていると、背後にいた正樹が隣に並んだ。
「もしかして、陽彩ちゃん関係とか?」
「え?」
尋ねられた玖保はコクコクと真面目な顔で頷き、再び俺を見る。
「俺、やっぱり見過ごすことなんてできません!」
玖保から話を聞いた俺は、殆ど無意識に陽彩のクラスへと向かっていた。
何故か気が急いて殆ど走りながら廊下を通る。
「こら、廊下を走らない!」
すれ違いさま先生に注意され、後ろからついて来ていた正樹と玖保が「さーせん!」と声を上げた。
目的のクラスに辿り着き陽彩の姿を探すが何処にもいない。
荷物もないようだからもう美術室へ行ったのだろうか。
「あれ?先輩たちどうしたんですか?」
「!」
声をかけてきたのはヒデちゃんこと浅野秀明だった。
荷物を手に、驚いた様子でこちらを見ている。
「いや、その、陽彩に話があったんだ。もう部活に行ったか?」
「あぁいや。あいつ日直だからまだですよ多分。確か伊藤先生に呼ばれて化学準備室に」
「「「え?」」」
その説明に3人同時に声が出る。
それもそうだ。だって伊藤先生は…
「さっき、廊下ですれ違ったよな…?」
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