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恋_4

「………何?」 「好き」 「はいはい、前見て歩けよ。転ぶぞ」 篠原の手が俺の頭の上に乗せられて、前を向けと方向転換させてくれる。 触られた、嬉しい。 「えへへ」 「今度は何?」 「なーんでもない」 「?……変な奴」 そんな俺達のやり取りを水野は笑って聞いていた。 「二人とも本当に仲が良いよね」 「これ仲良いって言うのか…?」 呆れたように篠原は言う。 「仲良し、仲良し!めっちゃ仲良し!だから水野が入り込む隙間なんてないんだからな!」 「えー?でもみーちゃんは僕のお兄ちゃん代わりだし、そう簡単に譲ってあげないよ?」 と水野が篠原の腕にぎゅっと抱きついて俺に笑う。 これは………宣戦布告か………? 「抱・き・つ・く・な!離れろ」 「お前ら人挟んで言い合いするなよな」 篠原の言い分は尤もだけど、解せないのは水野を払い退けないところ。 俺がやったら絶対払いのけるくせに………。 むしろ鼻の下伸ばしてるようにさえ見える………。 「………篠原、変態」 「はぁ?何でそうなるんだよ…」 「スケベ、変態」 「訳わかんねーから」 構内から外へ出ると水野は辺りをキョロキョロと見回して、ある一点で動きを止めた。 「居た……あの人」

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