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恋_6

字見は不貞腐れたようにものを言う。 「俺は智の友じ――――…ぇ…………」 言いかけた篠原の身体が傾いた刹那、俺はその光景に唖然として、篠原も字見も身体を固まらせた。 篠原の腕を引いて、水野の唇が頬に寄せられる。 「こ、こういう事なんで運命とか困りますっ!」 すぐに離れた水野は字見に向かって宣言する。 「智…………」 「ふーん………」 字見は面白くなさそうに篠原を一瞥すると、途端にニヤリと口角をあげて、水野へと顔を近付けた。 「それでも智也の運命は俺だよ。またね」 そう言って字見は颯爽と立ち去って行くけど、正直俺にとってはそんな事どうでも良い。 「智、お前な………いきなり変な事すんなよ」 「ほっぺぐらい子供の頃何回もしたでしょ?」 「ガキの頃と今を一緒にするなよ…」 「ごめんってば、みーちゃんなら許してくれるかと思って。…ごめんね?」 「ったく、間違っても他の奴にするなよ」 「しないよー。僕とみーちゃんの仲だから許されるって分かってるもん」 呆れたようにしながらも、絶対に篠原は怒らない。 ああ、ほらまた………心臓が止まりそう。 「帰るぞ」 「はーい!あ、ねえ寄りたい所あるんだ。予約してたCD受け取りたくて」 「はいはい。浅井もいいか?…………浅井?」 大丈夫。大丈夫。このぐらい大丈夫。 俺はまだ頑張れる。 「仕方ねーな。じゃあ篠原が俺にクレープ奢ってくれるならいいよ」 「何でだよ」 「てか水野はいつまで篠原にくっついてるつもり?は・な・れ・ろ」 全く悪びれる様子もなく、水野は大人しく篠原から離れる。 分かってる。 水野にとっては何でもないことなんだって。 分かってる。 それで一番傷付いたのは俺じゃなくて、篠原なんだって。 「………もしかして浅井くんってみーちゃんのこと本気で好きだったりする?」 「はぁ?本気に決まってるだろ。四年前からずっと本気ですーっ。な、篠原?」

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