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恋_7
俺に訊くなよ、と篠原は先に行ってしまう。
………寂しそうな背中してるし。
「あ、みーちゃん待ってよー」
水野はその背を追い掛けていく。
あーあ、あんな寂しそうな背中するぐらいなら……。
「………俺のこと好きになればいいのに」
やっぱ馬鹿。篠原、ばか。
そして水野は敵。天敵、決定!
「………一番高いクレープ頼んじゃうもんね」
分かってる。
一番不毛な恋をしてるのは、自分なんだって。
先行く二つの背中に追いつくと、水野がコソッと耳打ちをしてくる。
「ごめんね、もうあんな事しないから。みーちゃん照れ屋だけど優しいし、二人なら絶対上手くいくと思うよ!」
悪意なき言葉は本当に残酷。
「……そんな事言われなくたって分かってるし」
「僕、応援するからね」
ああ、ほら……水野は篠原が自分を好きだなんて微塵も思ってない。
あんなに向けられてる愛情に気付きもしない。
「鈍……」
「え、何が?」
「何でもねーよ」
羨ましい、ムカつく、妬ましい、………悔しい。
早く気付けって思うのに、でも気付いた未来は少し怖い。
もし、二人が両想いになったら……
心から喜ぶなんて出来っこない。
幸せにならなければいいなんて、最低な事を思ったりして。
「二人とも早く行くぞ」
「はーい」
それでもやっぱり寂しそうな背中は見たくない。
恋は矛盾ばっかりだ………。
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