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恋_11

side Ω 分かり切ってた答えなのに、ジクジクと心臓を突かれる。 痛い、苦しい、でもまだ頑張れる……。 「――まだ頑張れるもんね!」 「――馬鹿、煩いっての」 突っ伏していた視界を上げると同時に後頭部に走る鈍い痛み。 「い、痛……篠原酷くない?」 「講義中に大声出すからだろ。見てみろよ、講師が睨んでる」 言われて講義台を見れば確かに鋭い眼差しが飛んできてる。 「えへへ、えーっと、すみません………」 笑って誤魔化す横では小さく「ばーか」と呟きが聞こえた。 それからウズウズと講義の終わりを待つ事30分………。 「――終わった!よし!篠原、俺とデートしよ!」 「却下」 「早い!返事が早い!ちょっとは悩んで!」 「いやいやいや、急すぎだし。何でデートよ?」 「ふふーん、良くぞ聞いてくれた」 胸を張る俺の隣で篠原は余計な事を言ったと頭を押さえるけれど、俺はそんなこと全然気にしない! 「篠原が俺に靡かないのは、俺の努力が足りないからだと思うわけよ」 「………前向きって言うかなんて言うか…」 「だからまず俺の良さを知ってもらう為に、デートしよ!」 「あ、そうなっちゃう訳ね」 帰り支度をする横で選んだデート場所をスマホで検索する。 「ここ!ここに行きたい!」 「………ここって最近出来たテーマパークだろ?巨大迷路が売りの……よくCMやってる」 「そう!デートと言えばテーマパークってのは定番だし、ここが良い!」 げんなり顔した篠原は肩を竦めて席を立つと、講義室のドアへと向かって行ってしまう。 あーあ、やっぱ駄目か。 ちぇ、ケチ………。 「………帰らねーの?」 振り向き様に聞いてくるんだから、篠原はズルい。 「………帰る!置いてくな!」 そんでもって一緒に帰ろうと声掛けられただけで舞い上がっちゃうんだから、俺もチョロいよな、我ながら。 「………デートはしねーけど、遊びに行くならいいよ」 「…………え!?本当!?」 「デートじゃねーからな。普通に遊びに行くだけ。ダチなら普通だろ」 「や………やったーーーーー!!!」 廊下中に響き渡った声に篠原にまた頭を小突かれたけど、今の俺は無敵だから全然痛くない。 「えへへ、篠原好き!だーい好き!」 「………はいはい」

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