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恋_12
デート決行は明日、土曜日。
毎週金曜は篠原がバイトの為一緒に帰れない。ので、俺は一人最寄りのショッピングモールへと赴いている。
だって、だって念願のデートだしー、やっぱオシャレして行かなきゃじゃん?
そんでそんで篠原のハートをぎゅっと鷲掴みにして――。
「あれ?浅井くん?」
……………いや、気のせいだ。無視。
「おーい、浅井くん?聞こえてるよね?ね?」
前に回り込んで来たのは俺がこの世で最も見たくない顔…。
「何でお前がここに居るんだよ、水野」
「何でって、買い物」
俺の心境なんて露知らず、水野は無垢な微笑みを向けてくる。
「あっそ。じゃあそういう事で」
「あ、待ってよ。ねえ、折角だし一緒に回ろうよ」
「はぁ?何で俺がお前なんかと……」
「僕一回でいいから浅井くんと二人で遊んでみたかったんだ。いっつもみーちゃん一緒だし、なかなか二人ってないでしょ?」
なくて良いんだっての。
そんな心のツッコミを入れている間に、水野は俺の手を引いてグイグイと店内を進み始めた。
「おい、離せって。俺は絶対嫌だからな!」
「僕、新しいリュック欲しくてね。浅井くんは何買いに来たの?」
もー、コイツ全然話聞かないんだけど!?
「……はぁ………俺は服見に来――……」
「……………どうかしたの?」
ふと、水野を一瞥して考える。
篠原はコイツが好き、なんだよね……。
服装とかもこんな感じが好きなのかな……。
「………なあ、服っていつも何処で買ってんの?」
「え、うーん…わりと適当なんだけど……」
「……………」
「…………よし、分かった!今日は僕がコーディネートしてあげる!」
「え?いや、そこまで頼んでな――」
「――さあ、行くよ!」
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