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恋_13

水野って俺の想像の倍は強引。 「あ、ねぇ!これは?これすっごく似合うと思う!試着しよ!」 「わっ、おい、勝手に――」 「――はい、いってらっしゃい!」 清々しい笑顔は一瞬にして引かれたカーテンで遮られる。 放り込まれた試着室の中、手には水野が選んだ服。 ガックリと肩を落として仕方なく着ていた服に手を掛けた。 マジ何なのアイツ………篠原はあれのどこがいいわけ? 次から次へと湧き上がる不満を胸に、渡された服に袖を通して鏡に写った自分に目をやる。 「…………水野っぽい」 ボーダーラインの薄手のトレーナーに上にはロング丈のアウター。シャツばっかの俺が着ると違和感しかない。 けど………。 「………篠原はこう言うのが好きなのかな」 まあ可愛いよな、アイツが着れば。 「――浅井くんどう?着れた?」 「え、まあ………」 「見せて見せて!」 俺の返事を待たずして試着室のカーテンは閉じた時と同様に勢いよく開いた。 「わあ!やっぱり似合う!」 「せめて返事待ってから開けろっての」 「あ、えへへ、ごめんね。でも本当に似合うよ!」 「………違和感しかない」 「そんなことないよ!大丈夫!」 キラキラで真っ直ぐな瞳。 嫌いだ。水野なんて、嫌い。 「………じゃあ買う」 「本当?嬉しい!」 「着替える」 「はーい、待ってるね」 真っ白で、綺麗で、人から愛される。 それが理解出来てしまうから、俺は水野が嫌いだ。

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