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恋_15

「大丈夫!」 「は?」 「みーちゃん昔からモテモテだけど付き合ったりしたことないし、誰かとこんなに長く居るのって浅井くんだけなんだよ!僕は親同士が仲良くて昔から一緒に居たけど……とにかく浅井くんは特別だと思う!」 特別……。 俺が欲しい特別は、お前が持ってんだけどね。 「僕は応援してるよ」 「………いい、お前の応援なんかいらないし」 そんな事されたら、篠原はまた寂しそうな背中する。 それは嫌だ。 そんなの見たくない。 寂しそうな背中して、下手くそに笑う顔なんて。 素直じゃないなぁ、なんて水野が頬を膨らませるとちょうどパフェとパンケーキが運ばれてきた。 「浅井くんのも美味しそう!一口ちょうだい?」 「あ、まだ良いって言ってない!」 「美味しい!僕のも一口あげるから、ね?」 ずいっと差し出された一口大のパンケーキ。 ………確かに美味しそう。 まあ、食べ物に恨みはないしな。 悩みつつも自分に言い聞かせて、目の前のパンケーキに食らいつく。 「どう?美味しい?」 「………旨い」 「もう一口、食べる?」 「もういい」 俺が頼んだパフェももちろん美味しくて、器はあっという間に空になった。 「美味しかったー!」 「満足したなら帰る」 「あ、待ってよ!」 先に会計を済ませた俺は待つ義理はないだろうと、店を出て帰路につこうと足を進める。 それから程なくして、息を切らした水野が背中を追い掛けてきた。 「もう置いてかないでよぉ!」 もう十分付き合っただろうと文句を言うため後ろを振り向き様に、身体は何かとぶつかって盛大に尻もちをついた。

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