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恋_17
土曜日、自宅姿見前。
昨日買った服に袖を通して、まじまじと鏡に映った自分を見る。
………やっぱり違和感ある。
でもなぁ、他に良い服なんてないし。
これ着てくしか………って時間ヤバ!
現地集合にしたから最低でも待ち合わせ時間の一時間前には出ないと間に合わない。
「あー、もういいやこれで!」
考えたってどうしようもないし。
リュックを手に家を出て、最寄りの駅まで足早に向かう。
改札を抜けてちょうどホームに着いた電車に乗り込んで、揺られること40分。
見上げたのはまだ色艶の良い出来たばかりのテーマパークの入口。
へぇ……思ってたよりちゃんとしたテーマパークなんだ。
次に辺りを見渡して篠原の姿を探したけど、まだ来てないようだった。
少し早めに来たしね。あ、そうだ。
チケット買っておこう。
想定よりもチケットカウンターが混雑してるし、待ち時間で買っといた方が時間短縮なって、篠原との時間増えちゃうもんね。よし。
賑わう人混みに混じって並びながらスマホで『チケット買っておく』と篠原に一報を入れる。
直ぐに返ってきたのは『もうすぐ着く』と言う文字。
本当にデートなんだと、それだけのやり取りで胸が高鳴った。
学校終わりに出掛けることはあっても休日に、しかも待ち合わせなんかをして出掛けるなんて初めての経験。
「これをデートと呼ばず、何と呼ぶ!」
もちろん嫌がる篠原の表情 が浮かんだけれど、最早それさえも楽しい。
チケット購入まであと数人の所で周りが急にザワザワとし始めて、何だろうと皆の視線の先を追う。
そこに居たのは目立ちに目立ち捲くっている長身のイケメンが二人。
クールそうな黒髪と、王子様みたいに穏やかそうな茶髪。
モデルみたい、何かの撮影か…?
もういかにもαって感じのオーラ出まくりだな。
ありゃ目立っても仕方ない。
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