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恋_18

まあ、俺には関係ないけどね。 何たって今日は最高のデートにするし、記念すべき六十九回目の告白だってしちゃうし、それに………それに、今日は……。 「――お待たせしました」 気が付けば購入順が俺に回ってきていた。 「あ、えっと、大人二枚で」 「大人二枚ですね。こちらチケットになります。入口の係員にお見せください。良い一日を」 チケットカウンターを出てスマホのメッセージに気付く。 『着いた、入口の横』と言うメッセージ、送り主は篠原だ。 入口の横……入口の横………あ、居た! 篠原の姿を見つけて駆け寄ろうとしたら、一足先に篠原が俺の方へと走り始めて、目の前で足を止めると勢いよく両手を合わせた。 「ごめんな、ちょっと遅れた。妹が一緒に行くってなかなか離してくれなくて」 「全然。チケット買ってたし、ちょうど良かったよ。はい、これ」 「悪いな、いくらだった?」 「あ、いいよ。ここは俺の奢りで」 「ダメに決まってるだろ。ちゃんと払うから」 「いいって。誘ったの俺だし……付き合ってくれた礼ってことで」 不服そうな篠原はなかなか財布を仕舞おうとしてくれない。 「あ、じゃあ今日甘いもの食べたいから中で奢ってよ。な?」 「………食い物飲み物と、あと欲しいものあったら何でも言うこと」 「何でも?いいの?」 「それぐらいじゃなきゃ割に合わないだろ」 本当頑固な奴だな、と半ば呆れ気味に篠原は財布を仕舞った。 「やったー!じゃあ思い出の品買ってもらっちゃお。初デート記念」 「いやデートじゃねーけどな。はぁ……まあいいか、行くぞ」 「はぁーい!」 差し出したチケット一枚を受け取りながら篠原は何か考えるように俺を一瞥した。 「え、何?あ、もしかして俺のこと好きにな――」 「――いやそれはない」 「篠原、相変わらず冷たい………」 「………服、珍しいなって思っただけ」 服…………あ、自分がすっかり忘れてた……。 「あ………そう、篠原とのデートだからさ!張り切っちゃった!へへへ…………でもちょっと張り切りすぎて変かなって………」 「………いいんじゃね?似合ってるよ」 「………ほ、本当?」 「気合入れてきたくせに弱気かよ」 篠原が笑ってくれてる。 篠原が気付いてくれた。 篠原が似合うって言ってくれた。 それだけで嬉しさで押し潰されそ……。

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