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恋_19
「へへ、篠原も格好いい!」
「いや俺いつもと格好一緒だから」
「何着てても格好いいもん!」
「服関係ないだろ、それ」
篠原は呆れるけど本当のことだもん。
入口の係員にチケットを見せて、いよいよ入園。
中は広々として、真新しいアトラクションが数多く並んでいた。
「篠原!あれ!あれ乗ろ!」
「迷路やりたかったんじゃないのか?」
「迷路もやりたいけど、他にも色々乗りたい!迷路はこの先にあるから、これ乗ってから行こ!」
「………場所詳しいな?」
「ふふーん、今日のために事前準備はバッチリしてきたから!」
持ってきたリュックの中から取り出したのは、ここのガイドブック。
「んなもんまで買ったのかよ…ご丁寧に付箋まで貼ってるし」
「当然!」
乗り物、食べ物、飲み物からお土産までリサーチに抜かり無し!
「て事だから今日は俺に任せて!篠原が楽しいって思える一日にするから」
「ふっ、はいはい。じゃあ任せる」
「そんであわよくば、その流れで俺のこと好きになっ――」
「――さっさと行くぞー」
「あ、待って!置いてくな!」
ガイドブックを持ちながらリュックを背負い直し、更に篠原の背中を慌てて追いかけようとして足が縺れる。
「わっ、ちょっ、転――んぐっ!」
間違いなく顔面から転ぶと覚悟してぎゅっと目を閉じたら、確かに顔に衝撃は走ったけれど地面にしては柔らかい。
それに温かいし、この良い匂いって………。
「馬鹿、危ないだろ」
肩を支えられて態勢を立て直す。
顔面がぶつかったのは篠原の胸元で、前を進んでいた筈なのに駆け寄ってくれたらしい。
「浅井………?おーい、大丈夫か?どこか打った?」
「………………はぁ、好き」
「………大丈夫そうだな。全く気を付けろよ。置いてかないから慌てんな」
「うん………。ありがと」
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