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恋_27

それから迷うこと30分あまり……。 「もう無理!無理無理!一歩も歩けない!」 漸く辿り着いた出口で浅井は文句を言いながらその場にへたり込む。 「とりあえず出られてよかったな」 「篠原が道分かんなくなった時は絶望的だった…。でも俺はもう一歩も歩けない!」 「じゃあ記念の品はいらないんだな?」 「いる!」 歩けないと言い張っていたくせに、素早い身のこなしで立ち上がりズンズンと歩き始める浅井。 「篠原、早く!早く行こ!」 「さっきまでゴネてたくせに」 「それはそれ!これはこれ!」 まあ、楽しそうだからいいか。 浅井に案内されたショップは多くの人で賑わっていて、店内も思っていたよりも広い。 目当てのものがあるのか浅井は中へ入ると一目散に奥へと進んで行く。 「あ、ほら!これ!」 やっと足を止めたと思ったら棚から取り出した商品を俺に掲げて見せた。 「………ぬいぐるみ?これ欲しいのか?」 「違う違う。俺じゃなくて妹さんに。どう?」 「どうって………」 フォルムはウサギだけど、どちらかと言えば不細工な顔したぬいぐるみだな……。 「これここのマスコットキャラクターなんだぜ」 ああ、そう言えばパーク内の至る所で見かけたような…。 「可愛いし、喜ぶと思う!」 「……これ、可愛いか?」 「可愛いよ!絶対可愛い!」 前から思ってたけど、コイツの感性ってちょっとズレてるよな……。 「……じゃあ二個買ってくか」 「二個?弟さんにも買うの?」 「いや一個は浅井用」 「え、いや俺は…」 「店入って直行したって事は調べてたんだろ?妹が来たがってたって話はしたばっかだし、自分が欲しくて調べてたんじゃねーの?」 実を言うとさっきガイドブックを見せてもらった時、付箋が貼られてるのも目に入っていたんだけど。 「欲しかったけど………いい」 「何で?」

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